スティーヴン・キングの最新刊が早くも届けられた。『アンダー・ザ・ドーム』と題されたこの作品、原書刊行時から思わせぶりなタイトルと美麗なカバーイラストで、いやが上にも期待を膨らませていた超大作なのだ。
ドーム状の壁に閉じ込められた小さな町での怪異が描かれるのだな、と中身は容易に想像できる。それはキングお得意のシチュエーション。ひとつの町が地獄と化す様を詳細に追った『呪われた町』や『ニードフル・シングス』のような大長篇から、映画化《ミスト》も記憶に新しい中篇『霧』まで、外界から隔絶された小さなコミュニティを襲う怪異を描いたキングの傑作は数多いが、本作もそれらに列(つら)なる崩壊の感覚を味わわせてくれるのだろうと、読む前にして興奮は早くも最高潮に。
メイン州の田舎町チェスターズミルに突如現れたドーム状の構造物。その目に見えない壁は境界線に沿って町を取り囲み、遥か上空まで延びている。天辺がどうなっているのかは定かでなく、わずかな微粒子や電波以外は通さず、近代兵器をもってしても破壊することは不可能。
閉じ込められた者たちは原因を探ろうと行動を始めるが、外側に待機する米軍共々一向に打開策は浮かばず。やがてドームの内側では悪が芽を吹き……
冒頭からエンジンは全開。上空から地上へと俯瞰(ふかん)によって描かれる地獄絵の連鎖は、辺縁部から町の中心へと徐々に視点を移し、短い章立ても相まって、町の情景と住民の生活、そして巨大で異質なドームの外観をくっきり浮かび上がらせてゆく。