7月16日、第153回芥川賞に又吉直樹さんの「火花」と羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」が選ばれました。受賞決定直後に行なわれたテレビ局の囲み取材の模様を、書き起こしでお伝えします。
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──中学生のときに文学に出会った又吉さん、書き始めた時の又吉さん、そして今のご自身に言いたいことは?
又吉 文学を読み始めたのは教科書に載ってる芥川の「トロッコ」とかだったので、うらやましいですね。そこからなんぼでも読めるんで、どんどん読んだ方がええよという感じですよね。書き始めた時はどうでしょうね、まあまあ好きなように書いて、みたいな感じですかね。今は本当に驚いてますね。よく状況がわかっていないみたいな感じですね。
──文学の神様っているんですかね?
又吉 文学の神様はどうなんですかね、本の神様には会ってると思うんですけどね。
──太宰さんのお墓では今度行く時にはどんなことを伝えたいですか?
又吉 いつも勝手なこと言ってすいませんという気持ちでお墓参りしてるので、あんまり自分のことを報告する予定はないんですが、でもお墓参りには行きたいですね。
──今回の受賞の喜びは伝えない?
又吉 自分のことはあんまり……。いつもすいません、勝手なことを言って、大好きですという気持ちで線香を上げにいっています。
──今回はより好きな気持ちを伝えられる?
又吉 そうですね。感謝してますね。
──お笑いと作家を兼業されて、この賞を受賞して報われたなという気持ちはありますか?
又吉 いや、ないですね。報われないなということも思わないというか、しんどいのは当たり前とかしんどいくらいの方がいいかなと思ってるんで。でもこの賞は本当にうれしいですね。
──今日はどこでどのような形で受賞の知らせを聞いたんですか?
又吉 今日はホテルオークラのお店でマネージャーと編集の方と一緒に。
──何をしてた?
又吉 とにかく待ってました。ドキドキしながら、ほんまに取れるんかなあどうなんかなあって言いながら。すごい緊張感を感じていました。
──又吉さんのご自身の電話に連絡があった?
又吉 はい。
──鳴った時は?
又吉 携帯の画面に誰からかかってきたかわからんようにして待ってました。僕の担当編集の方からかかってきたら、あかんかったっていうことだと聞いてたんで、それが見えへんように裏返しにして、取りあえず電話に出てみてどうか知ろうと思ってたんです。緊張してるけど、もちろん作家としてはまだまだだし受賞は難しいと思ってたので、受賞したと聞いたときは手が震えましたね。
──相手からはまずどういう言葉があったのですか?
又吉 「おめでとうございます」と。僕は「ありがとうございます」と返しました。
──そのとき受賞したという実感はありましたか?
又吉 本当にびっくりして、手ぇ震えてるな、震えへんようにせな、みたいな感じでした。
──それから3、4時間たったわけですが、受賞した前と後と心身ともに変わったことは?
又吉 先ほど選考委員の先生方に挨拶させていただいて、おめでとうという言葉と厳しいお言葉もいただいたんですが、すごくちゃんと本気で僕の作品を読んでいただけたんやなということが伝わってきてすごく感動しました。昔から好きでよく読んできた先生方ばっかりだったので。
──今、数時間経って変わったことは?
又吉 ちょっといまだに状況がよくわかってへん、ふわふわしている感じですね。
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