北の海の寒さ、孤独、世間に背を向けて生きようとする幼い意志に寄り添って書き続けていた時期のことを、生々しく思いだしました。 熊切監督はとても好きな監督です。 そして、さまざまな映画で素晴らしい姿を見せてくださった浅野忠信さんと二階堂ふみさんが淳悟と花を演じてくださったことを、とてもうれしく思っています。映画は淳悟と花の関係を客観的に捉え、突きつけてくるように感じました。 原作とは違ったアプローチで、とても面白く拝見しました。

各誌絶賛の直木賞受賞作、 衝撃のベストセラーが奇跡の映画化!

流氷と大地がまぐわう町で起きた殺人事件。 禁断の愛をめぐる至高のサスペンスが幕を切って落とされた—

第36回モスクワ国際映画祭「最優秀作品賞」「最優秀男優賞」W受賞

私の男

桜庭一樹

「映画化にあたって」作者より

切なくも美しい、 究極のエンターテインメント!

落ちぶれた貴族のように、惨めでどこか優雅な男・淳悟(じゅんご)は、腐野 花(くさりのはな)の養父。孤児となった十歳の花を、 若い淳悟が引き取り、親子となった。そして、物語は、アルバムを逆から捲るように、花の結婚から二人の過去へと遡る。内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が超えた禁忌を圧倒的な筆力で描く第138回直木賞受賞作。

  • 浅野忠信 二階堂ふみ 高良健吾 藤竜也
  • 監督 熊切和嘉
  • 配給・宣伝 日活

桜庭一樹

1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』と改題して刊行)で第1回ファミ通エンタテインメント大賞に佳作入選。2003年開始の〈GOSICK〉シリーズで多くの読者を獲得する。04年に刊行した『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価されて注目を集める。07年 『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を受賞。2008年『私の男』で直木賞受賞。著書に『ファミリーポートレイト』『製鉄天使』『ばらばら死体の夜』『傷痕』『無花果とムーン』『桜庭一樹短篇集』などがある。