最新刊

真田武士心得〈二〉関ケ原純情

真田武士心得〈二〉
関ケ原純情

定価:803円(税込)
発売日:2025年11月5日

天下分け目の戦いを前に、真田信幸から鈴木右近に密命が下った。右近の剣の師・柳生宗章の元に、柳生宗矩からの密書を届けよ、と。信濃から岐阜へ、わずか七日の長駆。数々の峻険を越え、地侍の襲撃を退け、主君への忠義と両親の仇討二つの想いを胸に、若武者は家来とただひたすらに駆ける。困難を極める任務の結末はいかに?

シリーズ紹介

鈴木右近、主君のためなら命も惜しくはない。ただ、親の仇を討つまでは――。

「三河雑兵心得」「北近江合戦心得」シリーズに続く「井原忠政戦国三部作」となる「真田武士心得」シリーズが堂々の開幕!

叔父の裏切りで全てを失った鈴木右近。心に誓ったのはただ一つ、両親の無念を晴らすための復讐だった。孤児となった彼を拾い、その成長を温かく見守る主君・真田信幸夫妻。主への忠義と仇討の狭間で、ひとりの若者が己の信義を貫くため、野太刀を振るう。激動の戦国時代を駆け抜ける男の、熱き魂の成長物語が今、幕を開ける!

著者・井原忠政さんコメント

主君・真田昌幸から預かった名胡桃城を、迂闊にも北条に騙し取られた阿呆な父。その手引きをしたのは叔父で、母はその叔父と密通していた淫蕩な悪女? 最低の一族だ! 一人残された孤児・鈴木右近へ注がれる視線は冷たい。「あの糞叔父をこの手で倒し、父母の恥を雪がん!」嫌われ者の右近は日々木刀を振り、来るべき戦いの日に備えるのでありました。そんな右近を暖かく見守る真田信幸夫妻、何故か右近に気を遣い過ぎる挙動不審な「表裏比興者」、昌幸。時は流れ、いつしか右近は刀身長145㎝の長大な野太刀を振り回す偉丈夫へと成長を遂げるのです。ついた渾名が――熊。どうなる右近!? どうする右近!?

登場人物

画:岡田航也

  • 鈴木右近

    鈴木右近(すずき・うこん)
    本作の主人公。6尺(約182cm)を超える巨体と鋼の体躯をもち、刀身4尺8寸(約145cm)の野太刀を振るう。幼少期に名胡桃城事件で両親(主水・志野)を失い、裏切り者の叔父・中山九兵衛(なかやま・きゅうべえ)を仇として育つ。粗野に見えて心は純情、主君・真田信幸夫妻への思慕は生涯を支える灯火となる。

  • 榛名大吉/権蔵

    榛名大吉(はるな・だいきち)
    右近の家来。農民出身ながら槍の技は無双。短身で体幅が広く、毒舌混じりの軽妙な饒舌は物語の潤滑油となる。

    権蔵(ごんぞう)
    右近の従僕。長身痩躯で無口。気弱だが誠実さが際立ち、右近の影の支えとなる存在。

  • 真田信幸

    真田信幸(さなだ・のぶゆき)
    右近の主君。父・昌幸の嫡男で信繁(幸村)の兄。勇猛さと温情を併せ持ち、時に激情をのぞかせるも、理と道義を重んじる名将。

  • 稲姫

    稲姫(いなひめ)
    信幸の正室。本多平八郎忠勝の娘で、小太刀の名手。右近にとっては母でも姉でもあるような存在で、その慈愛と強さが彼を支える。別名・小松殿。

  • 柳生宗章

    柳生宗章(やぎゅう・むねあき)
    新陰流の剣豪。飄々とした風貌で掴みどころのない性格だが、右近の弱点を一瞬で見抜くなど実力は確かなよう。

  • 柳生紗良

    柳生紗良(やぎゅう・さら)
    宗章の娘。小太刀の達人。凛とした立ち居振る舞いの奥に、年若いながらも強い意志を宿す。

  • 真田昌幸/真田信繁

    真田昌幸(さなだ・まさゆき)
    信幸・信繁の父。智謀の限りを尽くす「表裏比興者(ひょうりひきょうのもの)」。狡猾さでは右に出る者はいないが、右近を苦手とする姿は謎めいている。

    真田信繁(さなだ・のぶしげ)
    信幸の弟。戦そのものを愛し抜く「戦オタク」。快男児的な性格は、兄信幸と対照的。

  • 横谷左近

    横谷左近(よこや・さこん)
    信幸の小姓から昌幸配下へ。名の由来どおり「左右から信幸を支える」役目を負っていたが、右近を深く恨んでいる。


著者紹介

井原忠政さん近影

井原忠政(いはら ただまさ)

2000年、「連弾・デュオ」で第25回城戸賞に入選し、経塚丸雄名義で脚本家デビュー。主な作品に『鴨川ホルモー』『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』などがある。16年、『旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎』(経塚丸雄名義)で時代小説家デビューし、翌年に同作で第6回歴史時代作家クラブ賞新人賞受賞。20年、井原忠政名義で「三河雑兵心得」シリーズを刊行開始。同シリーズで『この時代小説がすごい! 2022年版』文庫書き下ろし編第1位獲得、日本ど真ん中書店大賞2023を受賞。22年、「北近江合戦心得」シリーズを刊行開始。25年、原作とシナリオを担当した『羆撃ちのサムライ』(作画・本庄敬)が第54回日本漫画家協会賞のまんが王国・土佐賞を受賞。他の著書に「うつけ屋敷の旗本大家」シリーズ、「人撃ち稼業」シリーズがある。

井原忠政公式サイト

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