阿部智里「八咫烏シリーズ」

『亡霊の烏』発売記念
阿部智里インタビュー

阿部智里さん
撮影:深野未季

――第2部1巻『楽園の烏』が刊行されてから約4年半。新刊『亡霊の烏』でついに作中の時間が前に進みます。

阿部 大変お待たせしました、という気持ちです。時間軸からすると第2部1巻でかなり先の未来を描いて、その隙間時間を埋めるような構成でしたね。過去編が続くのは良くないなとは思っていたのですが、私自身が読みたい話を書こうと思って進めたらこうなっちゃいました。今巻でようやく『楽園の烏』より先に進めてちょっとほっとしています。

――過去編を書いてきた今までと、心境に違いはありましたか?

阿部 あまり変わらなかったですね。八咫烏シリーズは「山内で起きたことをどんな風に切り取って小説にしていくか」という感覚で書いているので、とにかく書きたいピースはあるが、それを小説としてどうやってうまく収めようかという……未来軸だから自由に書けた、という感覚はゼロでした。

――今巻では、今まで内面が明らかでなかった雪雉や暁美といったキャラクターも出てきます。

阿部 澄尾の子らは、シリーズ構想中の初期からいた古株なんですよ。彼らは第1部の登場人物たちの子どもとして新たに生まれたわけではなく、むしろ逆算して父親のキャラができていったというか。雪雉も、第2部の流れを見据えて生まれたキャラですね。

――次巻はいよいよ八咫烏シリーズ本編最終巻となります。

阿部 新刊告知のコラムで「あとは因果応報」みたいな言い方をしちゃったんですが、そう言い切ると語弊があるかもしれないですね。作者のスタンスとしては、もう書くべき内容は決まっているので、あるべき形になろうとする物語の流れをとどめないよう、適切なところで手を離したいです。

(2025年インタビュー)

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