アナザーフェイス×警視庁追跡捜査係

 

「特に殺人などの重大事件に関しては、 時効がなくなりましたから、私たちの仕事はますます重要になってきていると思います」 西川

西川まあ、大まかなことなら……私たちの仕事は、基本的に他の係が取りこぼした事件を調べることです。発生から長時間が経っても動きがない事件をチェックして、新しい切り口から見方を変えて捜査する、ということですね。特に殺人などの重大事件に関しては、時効がなくなりましたから、私たちの仕事はますます重要になってきていると思います。

沖田……というと恰好いいけど、要するに、人の事件を横取りするわけ。対象は未解決事件じゃなくて、あくまで『冷えた』事件だから。まだ捜査している人間がいるのに首を突っこんでいくから、嫌われるんだよな。

西川俺は何も感じないけどな。嫌われてるとしたら、お前の性格ややり方に問題があるからじゃないのか。

沖田俺が? こんなにオープンで明るい性格の俺が、どうして嫌われる?

西川本気で言ってるのか? だとしたら、自分で分かっていないのが問題だな。

沖田何だと?

大友その辺にしておきましょうよ。これじゃ、いつまで経っても話が進まない。

沖田おいおい……お前はいつでも模範的過ぎるんだよ。

大友すみません、出過ぎた真似をしました。でも、刑事総務課の人間としては、内輪揉めを見逃すわけにはいきませんので。

本題に戻ります。追跡捜査係の仕事をまとめると、迷宮入りまではいかない、いわば「コールドケース」を見直す仕事ということですよね。他のセクションとは違う、独特の捜査をする。これまで扱った事件の中で、特に印象的な物は何ですか? 差し支えない範囲で教えて下さい。

沖田俺はあれだな……青山の宝石店強盗事件。(※3

西川確かに、あれは特殊だった。

沖田まさか、全然別の通り魔事件とつながるとは思わなかったね。

お二人が手がける事件の場合、二つの全然関係なさそうな事件が、実はつながっていたというケースが結構ありますよね。

西川確かに、あります。

そういうことに関しては、どんな風に分析しますか?

西川それは、捜査している立場としては分からないんですよ。目の前の事件に集中するだけですから。余計なことを考えていると、集中力が削がれるので。そういうことは、専門家が分析するべきでしょう。犯罪学者にでも任せたいですね。

沖田偶然だよ、偶然。でも世の中ってのは、案外偶然が積み重なってできてるものなんだよね。ああいう事件を経験すると、よく分かる。

※3 『交錯』参照。沖田が担当した白昼の新宿で起きた連続無差別殺傷事件と、西川が担当した青山の高級貴金属店強盗事件の二つの事件の捜査が「交錯」し、驚くべき結末を迎えた。

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