シリーズにかかせない登場人物をこれまで装画をご担当いただいた安里さんの絵と共にご紹介します。

伊三次

伊三次

廻り髪結いを生業とする本作の主人公。職業柄、様々な場所で出入りの自由がきくことを活かし、町方同心・不破友之進の小者(手下)も務める。両親を早くに亡くし、姉のお園が嫁いだ髪結い床に弟子入り。しかし主人にいつまでも都合よく使われるのに辛抱ならず飛び出した。ご法度である忍び髪結いを働くうちに不破の手下にしょっ引かれ、それを機に小者となる。下戸で甘いものに目がない。

お文

伊三次の恋人で、深川芸者。座敷では「文吉」と、深川芸者の常として男名前を名乗る(後に日本橋に移り「桃太郎」)。男勝りな性格で、舟宿に呼ばれた際、舟の上で他の芸者と喧嘩し川に落ち、宿の主人の髪を結いに来ていた伊三次と知り合う。両親は許されぬ恋仲だったため、生まれてすぐ里子に出され、親の顔を知らない。「下らねェ岡っ引きの真似ごと」と伊三次の小者仕事には手厳しい。酒飲みで甘いものは食べない。伊三次と同い年で、物語開始当初は二十五歳。

お文
不破友之進

不破友之進

北町奉行所の定廻り同心。ぞんざいで横柄な物言いをするが、職人気質の町人たちからは好かれている。忍び髪結いの罪で捕えた伊三次を気に入って小者にし、毎朝自分の髪を結わせている。妻のいなみは不破が子供の頃通っていた剣術道場の師範の娘で、小太刀の使い手。不幸なめぐり合わせで吉原の小見世にいたのを身請けし、妻にした。後に長男、龍之進と長女、茜をもうける。

伊与太
伊三次の息子。絵師の修行中
お吉
伊三次の娘。髪結いの修行中
不破龍之進
不破友之進の息子。定廻り同心。
友之進の娘。松前藩下屋敷に女中として出仕する。

最終巻 文庫化

『竈河岸』書影

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『竈河岸』

定価:790円+税
判型:文庫判