阿部智里「八咫烏シリーズ」

八咫烏シリーズ第一部文庫完結記念インタビュー

文藝春秋本社屋上にて(撮影:深野未季)
文藝春秋本社屋上にて(撮影:深野未季)

――待望の新刊『楽園の烏』は、八咫烏シリーズ3年ぶりの書き下ろしですね。

阿部 個人的には昨年『発現』の刊行があったのでそんなに間が空いたような気がしないのですが、読者の方にはお待たせしてしまって大変申し訳ありません。早い段階でプロットにもOKが出ていたし、昨年の内に刊行できると思っていたものの、いざ書き出してみたら何か違うような気がしてセルフ没にしてしまい……その分、ようやく完成した『楽園の烏』は納得のいく形になったと思います。

――八咫烏シリーズ外伝『烏百花 蛍の章』の文庫も同時発売となりました。

阿部 この『烏百花』に関しては、ぜひ『楽園の烏』の前に読んでいただけたらと思っています。というのも、登場人物たちの関係性はどんどん変化していきますし、色んな伏線も張っています。シリーズ第2部の幕開けとなる『楽園の烏』は、時間軸がかなり未来に進んでおり、そこでの出来事を一度知ってしまうと、知らなかった過去へは戻れません。だからこそ文庫の先読を強くお願いしたいです。

――シリーズ150万部突破ということで文庫の新カバーも展開されています。

阿部 これまでの装丁がすばらしかったので非常に迷いました。ですが、作品を読んだ方々それぞれにビジュアルイメージがあるでしょうし、作者としても想像の幅をどんどん広げていってほしいという願いもあり、このような形となりました。新しいカバーも本当にすてきなものになったと思います! ちょうど松崎夏未さんによる『烏に単は似合わない』のコミック全4巻が完結し、8月下旬からは『烏は主を選ばない』の連載が「イブニング」誌ではじまります。今後も、八咫烏シリーズの世界を目いっぱい大きくしていきたいです。

――早くも『楽園の烏』の続きが気になりますが?

阿部 デビューの頃からシリーズの最終地点までのイメージや構想はあったのですが、他にも書きたいシリーズがあるし、第2部まで書くかは決めていませんでした。読者の皆様の後押しのおかげでこのような形となったので、作品の一番いい形を模索しながら、次こそは皆さんをお待たせせず(笑)、なるべく来年には新刊をお届けしたいですね。

(2020年夏インタビュー)