
最新刊
『月夜の羊』
定価:1,760円(税込)
発売日:2021年10月08日
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、秋のある日、道端で「たすけて」と書かれたメモを拾う。
折しも紅雲町では女子中学生が行方不明中。メモと関連づけ、誘拐・監禁を視野に警察も動き出すが、直後に少女は家出とわかる。そして、無関係なメモの件は放置される。
腑に落ちないお草は周辺をあたり、独居の老女が自宅で倒れているのを発見、救助する。ところが数日後、留守のはずの老女宅に人の気配を感じて――。
親の介護や「8050問題」に悩む人びとに、お草さんの甘いだけではなく厳しさも伴う言動は響くのか。
人気シリーズ第9弾!
北関東の、観音様が見下ろす街・紅雲町(こううんちょう)。ここで、気丈なおばあさん、杉浦草はコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営んでいる。日課の朝の散歩で出くわすちょっとした出来事や、お店の試飲のコーヒーを目当てに訪れる常連客たちとの会話をきっかけに、お草さんは街で起きた小さな事件の存在に気づくのだが……。
甘いだけじゃない、ちょっぴりビターな「日常の謎」系ミステリ。
登場人物紹介

杉浦草
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の店主。
着物に杖代わりの蝙蝠傘と腰籠といういでたちで散歩をするのが日課。
離婚歴があり、婚家に残してきた息子を3歳で亡くした。

森野久実
「小蔵屋」従業員。
元スキー選手の体育会系で、若さと元気でお草を助ける。

一ノ瀬公介
久実の恋人。県内の有力企業・一ノ瀬食品工業の三男。
山男だったが、いまは家業を手伝っている。

由紀乃
お草の幼馴染み。
脳梗塞で倒れ左半身に麻痺が残るが、紅雲町でひとり暮らしを続けている。
寺田
小蔵屋に出入りする運送屋。
隣市で洋食店を経営する父親(通称バクサン)はお草の昔なじみ。
著者紹介
吉永南央
1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。08年、同作を含む『紅雲町ものがたり』(文庫化に際し『萩を揺らす雨』に改題)で単行本デビュー。以降、「紅雲町珈琲屋こよみ」はシリーズ化して人気を博し、テレビドラマ化もされる。他の著書に『オリーブ』『キッズタクシー』などがある。
シリーズ一覧
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月夜の羊
2021/10/08
日課の朝の散歩の途中、メモを拾ったお草。そこに書かれていたのは《たすけて》というひと言……。助けを求めているのは、いったい誰?
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初夏の訪問者
2021/10/06
紅雲町にやってきた、親切と評判の男。だが彼はお草に自分は息子の良一だと告げ、証拠まで見せる。男は本当に死んだはずの息子なのか?
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黄色い実
2020/09/02
小蔵屋の頼れる店員・久実についに春が……!? 浮き立つ店だったが、元アイドルの女性への暴行事件で、小蔵屋にも不穏な気配が漂う。
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花ひいらぎの街角
2019/06/06
お草は、若かりし日々を共に過ごした旧友のために本を作ろうと思い立つ。だがその過程で個人データ流出事件に巻き込まれ……。
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まひるまの星
2018/03/09
山車蔵の移転問題がもちあがったが、話し合いが思うように進まない。奔走するお草は、町全体に関わる過去のある重い事実にたどり着く。
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糸切り
2016/12/01
紅雲町にある小さな商店街が改装されることに。だが様々な思惑が絡んで計画は空中分解寸前。お草さんはもつれた糸をほぐせるか?
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名もなき花の
2014/07/10
新聞記者、彼の師匠である民俗学者、そしてその娘。ある事件をきっかけに止まった彼らの時間を、お草さんは動かすことができるのか?
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その日まで
2012/11/09
小蔵屋の近隣では最近、詐欺まがいの方法での不動産取引が噂になっている。お草が背景を調べ始めると、そこには因縁の男の影が……。
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萩を揺らす雨
2011/04/08
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営むお草さん。店の常連客達との会話がきっかけで、街で起きた事件の解決に奔走する。オール讀物推理小説新人賞受賞。