万城目さんに質問
デビュー作の『鴨川ホルモー』のように、また大学生くらいのボンクラ主人公を使って話を書きたいなあ、と思っていたところと、「いつか時代小説を書いてみたいなあ」と思っていたところが、ちょうど握手できたのが、この「いくさのない平和な時代に忍びになったら、仕事がなくてニート忍者」という設定のアイディアでした。とはいえ、あくまで出発点での発想で、そこから話が膨らみ、ずいぶん大きなストーリーになってしまいました。
忍者
呼ばれましたね。執筆前は、まったくひょうたんなんて登場させる予定はなかったのですが、いざ登場するや、あれよあれよと、大きな顔をするようになりました。呼ばれたとしか言いようがないです。
ひとえに私の見極めが甘かった。本当は1年くらいの連載期間で終わるはずが、実際は丸2年も連載する羽目に。連載前にいったい何を見極めたのだ、と問い詰めたい気分ですが、そのぶん、とびきり大きな話を書き上げられたと思います。
1976年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。2006年、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。2009年刊行の『プリンセス・トヨトミ』は映画化も話題となり100万部突破のベストセラーに。ほかの小説に『鹿男あをによし』『ホルモー六景』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『偉大なる、しゅららぼん』、エッセイ集に『ザ・万歩計』『ザ・万遊記』『ザ・万字固め』、『ぼくらの近代建築デラックス』(門井慶喜氏との共著)がある。