2014.09.20 書店の謎

10人の書店員が担当分野から選んだ
あなたに読んでもらいたいベスト10冊+α

文: 「本の話」編集部

知っているようで知らない書店のことについて、全国各地の書店員さんが顔出しで回答する「10人の書店員に聞く<書店の謎>」。今回は、回答者の書店員おオススメの本をずらりとご紹介します。

担当しているジャンル、あるいは得意なジャンルでおすすめの一冊を教えてください。(千葉県 30代 男性)

 いただいたご質問、回答者全員がお答えさせていただきます。本の話WEBが全国の書店員から選りすぐった10人の、さらに選りすぐりの10冊+α。読書の秋にぜひ楽しんでください。

『コンサル一年目が学ぶこと』
大石哲之・著

定価:本体1500円+税 発売日:2014年07月29日

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山本善之(くまざわ書店大手町店)

『コンサル一年目が学ぶこと』(大石哲之/ディスカヴァー21)。「銀行は、晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」ドラマ半沢直樹で有名になった言葉が浮かぶような表紙のアイコンは、「雲雨傘の論理」を表しています。雲が出ているから(事実)、雨が降りそうなので(解釈)、傘を持っていく(アクション)。これらが区別され、全て盛り込まれていることがレポートなどの提案には重要。コンサル会社出身の方々は、その後の進路でも実に幅広く活躍されています。短期間で高密度・広範囲の仕事をこなすそんな方々の無敵の応用力を養った、入社一年目に学んだことを抽出したものがこの一冊。タイトルに「コンサル一年目」となっていますが、これは全ての業界で通じること、という意味合いに受け取って頂きたいです。チェーン内他店舗にも広げていきたい! と考えている一冊を紹介させて頂きました。

亜人(1)
三浦追儺・原作、桜井画門・漫画

定価:本体590円+税 発売日:2013年03月07日

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富田結衣子(文教堂書店代々木上原駅店)

 オススメするマンガはお客様の年齢や性別によっても変わってきますが、20代から30代男性へのオススメとしては『亜人』1~4巻(桜井画門/講談社/「good!アフタヌーン」連載中)か 『僕だけがいない街』1~4巻(三部けい/角川書店/「ヤングエース」連載中)です。今、一番続きが気になるコミックです。最近読んだ中では、個人的に、『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(宮川さとし/新潮社/)がものすごく良かったです。泣いても泣いても涙が止まりませんでした。

真田太平記(1)
池波正太郎・著

定価:本体750円+税 発売日:1987年09月30日

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栗原浩一(あゆみBOOKS仙台青葉通り店)

 よく聞かれる質問ですが、結構難しい質問です。これだけ沢山の中から1冊を選ぶのもそうですし、読まれる方の性別や年齢、ジャンルの好みなどもありますし、今売れているものなのか、または今までで面白かったものなのか、いろいろ考えさせられます。なので、今回は私が読んできた本の中からのべスト1をお薦めします。『真田太平記』 1~12巻(池波正太郎/新潮文庫)。世に真田幸村を広めた有名な作品です。1冊500ページくらいで全12巻。かなりのボリュームですが、読み始めたらその世界にどんどん引き込まれ、気が付けば幸村が……。再来年、大河ドラマで真田幸村(脚本・三谷幸喜)をやるそうなのでこの機会にぜひ!

沈まぬ太陽(1)
山崎豊子・著

定価:本体630円+税 発売日:2001年12月01日

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二村知子(隆祥館書店)

 私は、権力や、組織の矛盾に迫る実話をもとにした小説が好きなので、『沈まぬ太陽』全五巻(山崎豊子/新潮文庫)です。これは、主人公の恩地さん(のモデルとなった小倉寛太郎さん)のお話を直接お聞きすることも出来たのでなおさら感動しました。もと、毎日新聞の記者でもあった、山崎豊子さんの取材力、権力に屈しない真実を伝える文章力が好きでした。ひとたび読み出すとその世界に引きずり込まれるように夢中で最後まで読み切ることが出来ます。しかも読み終わると、経済界と、政界、マスコミの癒着が全て浮き彫りにされていて恐ろしくなりました。

行きつけの店
山口瞳・著

定価:本体710円+税 発売日:2000年01月01日

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戸木田直美(代官山蔦屋書店)

 少し前の生活をつづった日記やエッセイを読むのが好きです。なんども繰り返し、つまみ読んだり、季節に合わせて読めるのもいいところです。特に、今はもう味わえないもの、について、興味と切なさを感じます。おすすめの1冊には『行きつけの店』(山口瞳/新潮文庫)を。この本に、いわゆる美食、グルメのような内容を期待して、読んではいけません。一章ごと、ひとつの店とメニューをタイトルに冠しているものの、店主やお内儀さんとの会話の数々、その人たちとの出会いや付き合い、そして決めごと、すべてが一体になって描かれています。ふっと、山口瞳の大切にしていた生活が浮かび上がってくる、そんなエッセイです。

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