2013.09.03 書評

『花の鎖』解説

文: 加藤 泉 (株式会社有隣堂店売事業部勤務)

『花の鎖』 (湊かなえ 著)

 どうして私が本書の解説を書かせていただくことになったのか、不思議に思われる読者の方も多いことでしょう。最初に、デビュー時の湊かなえさんと私の関わりについて、記しておこうと思います。

 私は、神奈川県横浜市を拠点に首都圏に展開する書店「有隣堂」に勤めており、現在は店売事業本部で書籍の仕入と販売促進を担っております。昨年までは店舗に在籍し、おもに文芸書を担当しておりました。

 都内の支店に在籍していた二〇〇八年の初め、双葉社現営業局長K氏が、ゲラ刷りの原稿をお持ちくださいました。K氏と言えば、出版社の中でも屈指のやり手営業マン。その方が直接、丁寧なお手紙まで付けて手渡してくださったということは、おそらく凄い作品なのだろうと想像がつきました。湊かなえ「聖職者」という作品でした。

 その日の帰路、早速読み始めたのですが、面白くて面白くてページを捲る手が止まりませんでした。最寄り駅で電車を降りてもホームを歩きながら読み続け、そのまま駅構内のカフェに入って閉店まで読み続け、帰宅して風呂に浸かりながら読み続け、夜中に読み終えた後は興奮のあまり寝られなくなりました。これは絶対に世に出さなければならない作品だと、使命感に駆られたことを記憶しています。

 このことをK氏にお伝えすると、「湊かなえプロジェクト」なるものを立ち上げるので是非参加してほしい、とご依頼を受けました。それから発売までの間、月に一回のペースで会議が開かれ、双葉社営業部員、編集部員、取次社員、他会社の書店員の方々と一緒に、タイトル、装丁、価格、販促物(ポスター・POPなど)について議論を重ねました。

 湊さんご自身にご出席いただいた回もあります。初めて湊さんにお会いした時は、こんなにほのぼのした雰囲気の方があんなに恐ろしい物語を思いつくのか、と驚いたものです。

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花の鎖
湊かなえ・著

定価:620円(税込) 発売日:2013年09月03日

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