勉強したら優しくなれる。

　これは青柳さんの出した一つの答えです。これ以外にも本書には、様々なタイプの人の勉強に対する思いが描かれています。

「勉強できないことは怠惰だ」と言い放つ挫折を知らないエリートの親も、「塾は勉強したいと意欲ある生徒を育てる場」だという信念を持つ有名進学塾の講師も、「人生に必要な勇気や精神を育てる場」だと考える塾長の思いも、どれも間違いではないのです。その人の学び方によって、経験によって、その意味は変わってくるのだと思います。勉強する意味は、その人の生き様でもあるのです。

　だから、もしあなたが学生で、「勉強する意味が分からない」とやる気になれないのであれば、ぜひ本書を読んでみて下さい。優等生さんも、落ちこぼれくんも、伸び悩みさんも、挫折を味わったあなたも、そうでないキミも、どんな人が読んでもきっと自分なりの勉強する意味を見いだすきっかけになってくれるでしょう。

「この塾で、さまざまな講師たちの生き方に触れ、影響され、自分自身の得意なものを育てて、その後の人生を実り豊かなものにしていく。そういう生徒たちを育てたいんだよ」

　加賀見塾長の言葉です。

　本書は、青柳さんの、塾への究極の愛と若い人に対する希望で溢れています。学ぶ楽しさを体感させてくれます。

　そんな物語を読み終えた今、あなたも勉強したくてしょうがなくなっていませんか？

国語、数学、理科、誘拐
青柳碧人・著

定価：本体670円＋税 発売日：2016年03月10日

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