- 2014.09.20
- インタビュー・対談
著者インタビュー 奈良橋陽子
「キャスティングはマジック。新しい才能と出会うとワクワクします」
「本の話」編集部
『ハリウッドと日本をつなぐ』 (奈良橋陽子 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
『ハリウッドと日本をつなぐ』は、キャスティング・ディレクターや演出家として長年、多くの日本人俳優を世界に紹介してきた奈良橋陽子さんの初の著書です。本のなかで、渡辺謙や菊地凛子をハリウッド映画にキャスティングして国際俳優になるきっかけをつくったエピソードなどが綴られています。
――この本を書かれたきっかけは何だったのですか?
奈良橋 製作に関わった映画『終戦のエンペラー』が2013年に公開され、一段落してほっとしていた時にこの本の話をいただきました。ちょうどいい機会なので、今までの仕事を振り返ってみようと思ったんです。スピルバーグ監督の『太陽の帝国』で日本人俳優をキャスティングする手伝いをしたのが始まりで、その後、『ラスト サムライ』や『SAYURI』、『バベル』から、最近では『47 RONIN』や『パシフィック・リム』まで、数多くのハリウッド映画のキャスティングを手掛けてきました。実際にキャスティングをしている最中だと言えないこともたくさんありますけれど、もう時効かな、と(笑)。
――キャスティングの醍醐味とは?
奈良橋 新しい才能を発掘することですね。『バベル』の菊地凛子さん、『ウルヴァリン:SAMURAI』の福島リラさんもそうです。また、有名人でも、役によっては意外な一面を引き出すことができます。『SAYURI』で女将役を演じた桃井かおりさんのような例です。そんなときは本当にワクワクしますね。あと、キャスティングにはマジックがあるんです。シンデレラのガラスの靴のように、その役にぴったりの俳優が見つかると、俄然、光り輝き始める。『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンがその代表例で、『ラスト サムライ』の渡辺謙さんもそうだと思います。2015年に公開されるアンジェリーナ・ジョリーの『アンブロークン』に日本兵役でミュージシャンのMIYAVIをキャスティングしましたが、彼もその一人になると思います。
――ハリウッドが日本人俳優を見る目も以前とは変わりましたか?
奈良橋 『ラスト サムライ』で渡辺謙さんがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされてから、日本人を見る目が変わりましたね。それ以前だったら、日本人の役であっても、アメリカ在住の東洋人ですませていたケースが多かったんです。今は、わざわざ日本まで来て探したいという風になりました。また、日本の俳優のハリウッドに対する意識も変わりました。今までは雲の上の存在だと考えていたものが、自分たちにも可能性があると思うようになった。これはすごくいいことです。日本人の場合、どうしても英語にハンディがありますが、舌の訓練さえすれば、誰でも正確な英語が話せるようになりますよ。
――奈良橋さんは帰国子女で、演劇の勉強をするために渡米し、帰国後に作詞家、演出家として活躍されます。『ウィンズ・オブ・ゴッド』では映画監督を、『終戦のエンペラー』ではプロデューサーを務めました。また、英会話スクールの会長をされたり、俳優養成所も主宰されたりと、八面六臂の活動をされてきました。そんな激動の半生も本書では書かれています。
奈良橋 振り返ってみると、いろいろなことがあったんだと思いますね。まあ、過ごした人生が長いから(笑)。作詞家や演出家、キャスティング・ディレクターなどいろいろな仕事をしてきましたが、わたしのなかではすべてつながっているんです。演技をするという喜びが、すべてに共通しているんだと思います。そのことをこの本で、表現したかった。あと、書くことは昔から好きなんですよ。この本もロサンゼルスの自宅で正味、10日くらいで書きましたから。これからは作家という肩書きが加わるかもしれません(笑)。
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