- 2015.11.12
- インタビュー・対談
『カッコーの巣の上で』のジャック・ニコルソンに衝撃を受けて――戌井昭人さんインタビュー(後編)
「本の話」編集部
『俳優・亀岡拓次』『のろい男 俳優・亀岡拓次』 (戌井昭人 著)
ジャンル :
#小説
「脇役俳優・亀岡拓次には、自分も5割くらい入っていますね――戌井昭人インタビュー(前編)」より続く
学生時代は芝居を学び、「文学座」の研究生だったこともある戌井さん。芝居の面白さに目覚め、杉村春子さんの誠実なやさしさに触れたことが、本作にもつながっていきました。安田顕主演、横浜聡子監督の映画『俳優 亀岡拓次』も、2016年1月30日から公開です!
――戌井さんは定住派ですか、旅暮らし派ですか。
定住できる場所があるから、うろうろできるんでしょうね。ポール・ボウルズみたいな作家にも憧れるんですけど、実際にパソコンを持って出かけても、何も書けません。
――『すっぽん心中』や『どろにやいと』も「いろんな場所をうろうろする話」でした。最初にどのくらい決めて書き始めるんですか。
3分の1くらいかな。『すっぽん心中』は、霞ヶ浦からヤンキーみたいなのが売りにきたことがある、と浅草のすっぽん屋で聞いた話がもとになっています。霞ヶ浦という場所が絶妙だし、そこから浅草まで来たんだなあ、と。『どろにやいと』は、出羽三山に行ったこと。終着点はあんまり決めてません。筆が止まってしまうと、考えたり、うろうろしながら、続きがぽっと出るのを待つ。今も、止まっちゃってる小説、あるんですけどね。
――亀岡シリーズでは、筆が止まったり書くのに困ったりしたこと、ありましたか。
あんまりなかったかな。旅をするたびに、亀岡だったらどうするかな、と意識しながら歩き回ってました。大森立嗣さんが映画(『まほろ駅前多田便利軒』で声の出演)に呼んでくれたときも撮影現場をうろうろして、「亀岡のネタ、作れたか?」って声かけられたり。経験したこと、あっと驚いたことを、それほどふくらませずに、どんどん小説に入れられて、書いていて楽しい作業でした。
――戌井さんは、パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を主宰されています。演出家や俳優でもあるのでは。
演出家は別にいるんですが、口出しをしています(笑)。意図を説明したり、こう動いてほしい、と伝えたり。もう、出るのは鉄割だけでいいや、と思ってます。俳優を突き詰める気持ち、文学座にいたころはありましたけど、鉄割を始めて、なくなっちゃいましたね。
――そのような立ち位置の戌井さんが、なぜ俳優を主人公にしたのでしょう。
俯瞰できるようになったからでしょうか。俳優論のつもりでもないんですが。
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