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書店「フルハウス」店長 柳美里 現実がつらいとき、本は「魂の避難所」になる<特集 文學界書店>

書店「フルハウス」店長 柳美里 現実がつらいとき、本は「魂の避難所」になる<特集 文學界書店>

文學界1月号

出典 : #文學界

「文學界 1月号」(文藝春秋 編)

――古書店ならまだしも新刊書店を一からはじめるのは、出版取次の問題など越えなければならないハードルがたくさんあると思います。

  二〇一七年一〇月に三陸鉄道で仕事をした時に、宮古の浄土ヶ浜パークホテルに泊まりました。チェックアウトの時に偶然、日販の平林彰社長とお会いし、同行していた東北支店の方が「社長、柳さんの本屋をやらせてください」と直訴してくださり、日販との契約に向けての話し合いが始まりました。あまりにも奇跡的で、小説に書いたらリアリティがないと言われそうな出来事ですよね。二〇一七年春に購入した小高の中古住宅をリフォームして、二〇一八年四月に僅か十坪の本屋フルハウスを開店しました。

――書店を開くにあたりどんなコンセプトがありましたか。ご自身がセレクトした本のコーナーもありますね。

  オープン時は、二〇〇〇タイトル、五〇〇〇冊でした。私の自宅部分の本棚にもほぼ同数の本があるんですが、店舗の商品と重なっているのは一〇冊くらいですね。日販の方には、「柳さんのラインナップは売れないと思いますよ」と言われましたが、私には臨時災害放送局で六〇〇人の方のお話を聴いたという裏打ちがあり、お一人お一人の顔を思い浮かべた上での選書でした。

 オープニングイベントとして毎週土曜日に小説家や詩人や評論家や学者の方をお招きしたのですが、誰一人断らずに小高に来てくださいました。青山七恵さん、飯沢耕太郎さん、いしいしんじさん、小山田浩子さん、角田光代さん、最相葉月さん、佐伯一麦さん、中村文則さん、村山由佳さん、和合亮一さんなど二四人が選書してくださったそれぞれ二〇冊の本も陳列しています。

 

この続きは、「文學界」1月号に全文掲載されています。

文學界 1月号

2020年1月号 / 12月7日発売
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