作品
家でも職場でも尻に敷かれている小心者の開業医が、同業の古女房の目を盗んで女性患者と親密になる。この三角関係がひきおこす悲喜劇の数々を軽妙に綴るユーモア長篇。(青木雨彦)
服部半蔵の命を受け東海道を行く隠密同心・吹雪算長のすさまじき任務。次々と襲い来る不気味な敵の正体は? 迫力の連作伝奇長篇
(上を参照)
幕府瓦解で静岡移住を余儀なくされた旧幕臣が、志を語らい、自己の精妙の剣技を武器として、明治新政府に徹底反抗する。その波瀾の果てを見すえる画期的歴史長篇。(桶谷秀昭)
命がけの紀州みかんの江戸輸送で巨利を得、材木商、貨幣改鋳で財を築いたが、一代で潰れた豪商紀伊国屋文左衛門の波瀾万丈の生涯
敵対する者は斬る、隊規を乱す者は斬る。士道不覚悟は切腹。江戸から上洛した烏合の衆が、問答無用の殺人集団に変貌してゆく殺伐たる実像を新視点から活写した力作長篇。(桶谷秀昭)
渡米、南米放浪、英国生活ののち、郷里和歌山で生涯を独学研究に没頭した南方熊楠の全体像を、同郷の著者があますところなく描く
京都郊外、一乗寺下り松での吉岡一門との死闘、関門・船島での佐々木小次郎との血闘など、いくたの修羅場でつねに勝利をおさめた孤高の剣聖の凄絶なる生涯を描破する。(桶谷秀昭)
尊皇攘夷運動の吹きあれる幕末、紀州藩の若き藩士東使左馬之助は、藩の腐敗を弾劾する直訴状を懐に脱藩を敢行。剣ひと筋に生きる好漢のさわやかな軌跡を描く長篇。(安西水丸)
第二次大戦でニューギニアを転戦、十九日間の死の漂流ののち中隊生存者わずか五人のうちの一人として生還した義兄は性格が一変した。人間性の極限に迫る戦記文学の名品。(桶谷秀昭)
維新前夜、西郷隆盛の信頼を得た薩摩藩の剣豪隠密、先代島津斉彬の落胤とも噂される好男子が、京都、大坂、横浜と波瀾にみちた大活躍。その軌跡を活写した歴史ロマン。(小川和佑)
大坂石山本願寺の門徒集団を撲滅せんとする織田信長を、鉄砲と水軍で苦しめた紀州雑賀衆。頭領小谷玄意の三男七郎丸の短くも熱い青春を描く痛快にして哀切な物語。(磯貝勝太郎)
明治十六年、紀州田辺に生まれた青年が青雲の志にもえ、生きるあかしを求め修業を積み、ついに無敵の境地に達する。合気道の創始者植芝盛平の武芸一筋道を描いた長篇。(小川和佑)
昭和二十八年、帰化韓国人岩谷を全力で追う和歌山市警。惨劇の発端は美貌の妻の“かげ”にあった。息をのむ異色犯罪小説集。「南海綺譚」「魔物の時間」「白の誘惑」他四篇収録。(高久進)
幕末の京で“不敗の剣法”と畏怖された示現流。開祖・東郷重位の軌跡を活写する表題作のほか、「桜田門外の光芒」「寺田屋の散華」「煙管入れ奇聞」など名剣豪小説の揃い踏み。(武蔵野次郎)
バー勤めの愛人を斬殺した大男を追う和歌山県警刑事の死闘を描く表題作をはじめ、孤独な凶悪犯の実像にせまる犯罪小説集。「血痕」「腕時計をくれた女」「強い星」他四篇の競演。(藤田傳)
天下無双の剣豪の凄絶なる生涯、死闘血闘の後に悟達した孤高の剣の実像をあざやかに描破して宮本武蔵像の決定版たる歴史大河長篇
明治の初年、和歌山へやって来た撃剣興行の一座。その一番の遣い手にいどまれた旧幕臣の腕のさえを描破した表題作のほか、よりすぐりの八篇の剣豪小説を収録。(武蔵野次郎)
明治新政府の顕官の地位を約束されていた男が、郷里の実家倒産の危機に際し、一転して盗賊集団に参加する。歴史のはざまに生きた破天荒な人生を描く骨太な長篇。(磯貝勝太郎)
九州島津藩の不敗の剣士、示現流東郷重位の峻烈な軌跡を見事に描いた表題中篇ほか、示現流達人の鋭い太刀風を活写した剣豪小説集
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