作品紹介

19歳の頃、当時同棲中だった3歳上の彼女がバザーでコーヒーミルを買った。早速マンデリンの豆を挽き、丁寧にコーヒーを淹れてくれた。「ねえ、もう一杯お代わりしない?」何事にも想像力に乏しく幼かった僕には、昨夜帰省先から戻った彼女に訊きたくても訊けないことがあった。もやもやした気持ちで苦いコーヒーを啜っていると、彼女が「とても大切な話」を切り出した…。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。

担当編集者より
「香り」の記憶は何かのはずみに想いだす、忘れがたいもの。人気作家8人(阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、重松清、朱川湊人、高樹のぶ子)が「記憶の中の忘れがたい香り」をテーマに競作。あなたの中のかけがえのない記憶を呼び覚ます贅沢なアンソロジー。さあ、8つの扉のどこからでもお入り下さい。

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