作品紹介

2000年代に入ってすっかりおなじみになった「炎上」という言葉。ネットで不用意な発言や写真をアップした人に対して、集中豪雨的に批判、非難が殺到するさまを、炎が燃え広がることにたとえたものだが、これはネットの専売特許ではない。
たとえば、小泉劇場と呼ばれた、小泉純一郎元総理の政治手法そのものが、社会を炎上させるものだった。そして今、小池百合子都知事やドナルド・トランプ米大統領が巻き起こす小池劇場、トランプ劇場も、社会の炎上の一形態に他ならない。
「人々の中にたまった情念が、何らかの大義名分を媒介として『天下公認の正義』のごとく認定されることにより、爆発的な形で発散され、その発散が社会的にどんどん広がってゆく現象」を炎上の定義とするならば、炎上はどこにでも生じる。
本書は、佐藤健志さんと藤井聡さんがそれぞれの炎上論を論じ、最終章で、対談によって炎上をコントロールする方法を探るという「対論」のスタイルを採用。
佐藤さんは、ジャン・アヌイの演劇論を軸に、炎上のメカニズムを論じ、藤井さんは、自身が炎上に巻き込まれた豊洲移転問題や「大阪都構想」問題を中心に、炎上が公益を毀損する危うさを論じる。
対談では、そんな厄介な炎上をいかにしてコントロールし、封じ込めるかについて、大胆な提案を行う。炎上形態のひとつとして論じられるヒットアニメ『進撃の巨人』『魔法少女まどか☆マギカ』についての考察は秀逸。
「人々の中にたまった情念」が増大していくこんにち、炎上はどこにでも起こりうる事象になっている。これと付き合わないで生きていく手段はない。ならば、本書を読んで、高らかにこう叫ぼうではないか。

炎よ、われと共に歩め!

担当編集者より
対談本はよく見かけますが、「対論」は久しく見ていないスタイルです。それぞれの論を尽した上で、それをベースに語り合うという対論は、問題をより多角的に論じる上で、とても優れたスタイルであることを再確認しました。小池都知事に豊洲移転問題、ジャン・アヌイの作劇術など、骨太の議論も面白いのですが、アニメのヒットも社会の炎上のひとつとしてとらえた、『魔法少女まどか☆マギカ』論は、目からウロコです。
目次
第一章 現代の「炎上」の基本メカニズム(藤井)

第二章 ジャン・アヌイの作劇に見る炎上の魅惑と詐術(佐藤)

第三章 炎上における「隠蔽」の構造(藤井)

第四章 炎上にひそむ「知性のめまい」をさぐる(佐藤)

第五章 炎上のメカニズムへの挑戦(藤井)

第六章 仮相と炎上の戦後史(佐藤)

第七章 対談 炎上はコントロールできるか(藤井・佐藤)
商品情報
書名(カナ) タイロン エンジョウニッポンノメカニズム
ページ数 240ページ
判型・造本・装丁 新書判
初版奥付日 2017年06月20日
ISBN 978-4-16-661128-7
Cコード 0295

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