アナザーフェイス×警視庁追跡捜査係

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事件はどのように生まれる? 『アナザーフェイス』の誘拐事件の取材は今でも印象深い

「事件はいつも堂場さんお1人で考えていらっしゃいますね。1巻目は誘拐の身代金を持った犯人がコンサートに紛れ込む設定なのですが、これは打ち合わせの時に、最初だから事件は大きくインパクトのあるものにしたいと話し合いました。現実の誘拐は(1)迷宮入りか、(2)身代金受け渡しで捕まる、の2パターンしかない。堂場さんは新聞記者でしたので、ありえない話にはしたくないとリアルなものを追い求めた結果、誘拐を扱うにしても、警察が困る設定にしたかったとお話ししていました。そこでジャニーズのコンサート帰りの人達を見た時に、同じような年齢・格好で、同じようなグッズを持っていたことに気付き、そこに紛れ込ましたら面白いのではと、意見を採用して頂きました」

「でも、そこからが大変でしたね。じゃあ一緒にアイドルのコンサートを見に行こうと盛り上がり、オークションでチケットを落としました。だいたい……1枚でダイソンの掃除機が買えるくらい! 経費で落ちるか心配で、ダメなら自腹を切る覚悟でした(笑)。この時は堂場さんが熱くて、ジャニーズ、しかも嵐のコンサートに行きたいと強い意志をみせていたことが印象深いです。中年男性2人で行ったら絶対誤解を受けますよ、とやんわりお伝えしたのですが……」

「とっても格好良い光景だと思いますけど(笑)バディの刑事のような。それでネクタイしていったら、仕事なんだなと思いますね」

事件はどのように生まれる? 書くところは必ず足を運ぶ堂場さん

「大友鉄の家がある町田というのは、堂場さんが学生の頃に住んでいらっしゃって、もともと土地勘があったそうですが、執筆前に改めて町田の町をご一緒して周りました。町田は今や大都市で、学生の頃からはずいぶん変わったそうですが、それでも駅から10分くらい歩くと、まだ、昔の豪農だったようなお屋敷が残っているんですね。それで、『これは、聖子さんの家だな。いかにも茶室がありそうだ』とか、想像を膨らませていました。そのときに、『アナザーフェイス』では、町田から国道16号線(八王子バイパス)沿いにストーリーを展開して、モータリゼーションを絡めたらどうかなとか提案をいただきました」

「うちのシリーズは主だった取材はなくて、普段から歩いている土地勘のある都内を舞台にしていますね。ひょっとしたら他の作品の取材と称してついでに『追跡捜査係』の取材もしていらっしゃるのかもしれないです」

「『策謀』の渋谷は、高城賢吾の本拠地ですもんね。堂場さんが記者時代の警察担当だったとき三方面担当(渋谷・世田谷・目黒)でしたし、鳴沢了シリーズの舞台・新潟は堂場さんの記者時代の最初の初任地ですし、やはり知らない土地のことは書かないのでしょう」

「必ず“歩く”というのは聞いたことがあります」

堂場瞬一・著

定価:(本体690円+税) 判型:文庫判
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堂場瞬一・著

定価:767円(税込) 判型:文庫判
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