- 2016.04.02
- 書評
組織の「グチャグチャ」にも対応可能! 33歳元ミクシィCEOが愛読する歴史本とは?
文:朝倉 祐介 (元ミクシィCEO)
『新世代CEOの本棚』 (堀江貴文・森川亮・朝倉祐介・佐藤航陽・出雲充・迫俊亮・石川康晴・仲暁子・孫泰蔵・佐渡島庸平 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
オーストラリアの騎手養成学校、調教助手、東大法学部、マッキンゼーを経て、ミクシィ再生を請われ30歳の若さでCEOに就任した朝倉さん。「ヒリヒリするような経営の修羅場」を乗り越えるのに役立った本を紹介する。
どうしても頭の中で音に出しながら読んでしまうため、本を読むのは決して速くありません。流さずにきちんと読めるのは週に1、2冊程度。読める数に限りがあるので、本当はもっと慎重に選ぶべきなのですが、とにかく本は大量に買います。気になるキーワードがあったら、グーグルで検索するよりも先に、アマゾンで検索して本を探すくらいです。
昔から「本は値段を見ないで買う」と決めているので、部屋の中は「積ん読」本の山です。本以外のものを買うときは値段をかなり気にしますが、本は高くてもせいぜい数千円。アマゾンのマーケットプレイスなら10円程度から古本を売っていますから、気になった本は全部ポチって買い、それがストレス発散にもなっています。
最近はもっぱらキンドルの電子書籍です。本がうずたかく積まれることがないので、QOL(生活の質)は格段に向上しました。キンドルで読むときは、気になったところを全部ハイライトしています。ハイライトしたところは、キンドルのウェブの管理画面でコピペできるので、それをEvernoteに貼り付ければ、メモを取る手間が省けます。
そうやってためておいた内容は、折に触れて見返したり、何かを伝えたいときに引用してほかの人に送ったりしています。同じことを言うのでも、自分の言葉より、「昔の人はこんなことを言っていたらしいよ」と援用するほうが、より説得力が増すからです。
物事を俯瞰的に見たいときには、歴史物が楽しめます。
たとえば、明治維新の話を読むと、「勝てば官軍」という言葉が実感をともなってよく理解できます。とくに、半藤一利さんの『幕末史』がおすすめです。
明治維新というのは不思議な革命です。たとえば、吉田松陰は尊王攘夷で「夷狄を追い払え」と主張し、彼の教え子たちの活躍もあって倒幕は成ったけれど、明治新政府が実際にとった政策は、吉田松陰の考えとは真逆の「開国」ですから。
そもそも、当時の幕府は開国政策を進めていたわけで、何のために争ったのか、正統性の面では疑問の余地が多々あります。正義が勝つわけではなく、勝ったほうが正義になる。これが歴史の真実なのでしょう。
その一方で、やはり大義は重要だとも感じます。吉田松陰がビジョンを打ち出したから、そこにだんだん人が集まり、大きなうねりとなっていきました。そういう連鎖を生み出すもととなるのは、やはり大義ではないでしょうか。旗を掲げる人の資質や能力も大事かもしれませんが、それよりも、大きな絵を描くことそのものに意味があると思うのです。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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