作品
水上文学の傑作を彩った多くの女人たちとめぐり会った日々を回想して、愛と憎しみのかたちを再現する。永い歳月のフィルターを通して、愛惜と悔恨がこもごもに浮かぶ。(鶴見俊輔)
この対談には「一瞬の女のイノチが輝いている」と山口瞳さんは言う。水上勉、吉行淳之介、二子山勝治ら十七人の対談者にそれぞれの思いを残させた希なひとによるただ一つの対談集。
生みの母のぬくもりを知らぬおきんは健気に生きてゆくが、その美貌ゆえに次々と男たちの慰みものになる。悲しい運命に翻弄されながら、意地を貫くひとりの女の生涯を哀切に描く。
第一部「雁の寺」につづく「雁の村」「雁の森」「雁の死」の四部作に加筆して収録。著者の怨念と濃密な私小説的リアリティによって、純文学の域に達したミステリー連作。(野口冨士男)
※未刊行の書籍は、刊行予定が変更になる場合があります。