作品
宝引の辰は千両町ではちょっといい顔の岡っ引。色が黒く、目は大きく、よくない人相の男だが、十手さばきは真面目そのもの。まず手始めは千両小町と謳われた、お姚殺しの一件だ。
滅びゆく職人の世界に身を置く男と、手広く事業を営むかつての恋人との再会が、悲劇的な結末へつき進む。直木賞受賞作家による、宿命の愛の行方を見すえた小説四篇。(小杉健治)
神出鬼没の怪盗S79号。警察の厳重な警戒をあざ笑うかのように次々と予告通りに名品を奪い去る手口は、摩訶不思議である。果たして彼の正体は? 奇想天外の連作長篇推理。
老舗に養子に入って二十年、妻に死なれた男が修業時代に愛した女性と偶然に出会って、謎めいた別れの全貌が……。男女の別れと出会いをミステリアスに描く短篇集。(武蔵野次郎)
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