作品
若い読者にいまだ人気の衰えぬ太宰治。その繊細な心を太宰への特別な深い理解と愛情をもつ著者ならではの視点で描く秀作長篇小説
願いごとがこぼれずに叶う月か……。鬼監督と呼ばれた男が、引退の日、空を見上げていた。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「切子皿」など七篇。感動の直木賞受賞作。(長部日出雄)
作家のユニークな感受性に映るこの世の姿――人物、動物、好きな映画や音楽、そして文学の話までが、達意の名文で語られる、極上の酒のようなエッセイの愉しみ。(長部日出雄)
日常生活の狭間にかいま見る妖しの世界——独自の感性と性癖、幻想が醸しだす類いなき宇宙を清冽な文体で描きだした、泉鏡花賞受賞の世評高き連作短篇集。(長部日出雄)
世去れ節の大成功者、黒川桃太郎はなぜ貧困のうちに窮死したのか。直木賞受賞作「津軽世去れ節」「死者からのクイズ」「津軽じょんから節」「津軽十三蜆唄」「猫と泥鰌」「雪のなかの声」収録。
A・ドロン、R・テイラー、T・パワーら美男スターの悩みと哀しみ。「旅情」「終着駅」「シェーン」など映画に見る別離。ビスコンティ、ベルイマンの美学。(長部日出雄)
新宿のバーに集まり去ってゆく男女の哀歓を映す連作。直木賞受賞作の「雨やどり」のほか、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」「新宿の男」「かえり唄」など絶品七篇。(長部日出雄)
人生の冷たさと退屈とに堪え得ず、自ら生命を絶つ女。敗戦直後の暗い農村を背景に清純な母子像を描いた芥川賞受賞作「北の河」のほか、「夏の日の影」など三篇を収録。(長部日出雄)
著者の精神的故郷である仙台で、少年時代に妄想ばかりしていた男の思想的半自叙伝を、すべての権威を相対化してしまうパロディ意識で描いた愉快な青春小説。(長部日出雄)
※未刊行の書籍は、刊行予定が変更になる場合があります。