作品
一匹の柴犬が子のない夫婦のもとにやって来た。家に来た日から最期まで、犬を“もう一人の家族”とした新田次郎文学賞受賞の愛犬記
少年を轢き逃げしたあげく、自殺を思いたち、山に入ったところ、運命は意外な方向に展開する表題作のほか、「山靴」「危険な実験」など十四篇を収録した短篇集。(武蔵野次郎)
大名屋敷を舞台に陽炎のようにゆれ動く女心を描いた表題作のほか、歴史秘話をほりおこした短篇集。「ぬけ参り」「筍茶屋」「信長の悪夢」「天狗火事」「着流し同心」他二篇収録。(大河内昭爾)
幡随院長兵衛、水野十郎左衛門、大岡越前守など歴史上の人物の実像に迫る時代小説集。表題作の他、「増上寺焼打」「異人斬り」「葉鶏頭」「旗本奴」「佐久間象山」他四篇収録。(林青梧)
日露戦争直後、人跡未踏といわれた北アルプス立山連峰の劒岳山頂に三角点埋設の命を受けた測量官・柴崎芳太郎。困難を乗り越えて山頂に挑んだ苦闘の軌跡を描く山岳小説。(瓜生卓造)
天下無敵を誇った甲斐の武田軍団は如何にして生まれ、そして滅んだのか。信虎、信玄、勝頼という武田三代にまつわる埋もれた逸話七篇を集めた、名著「武田信玄」の基礎をなす短篇集。
宝永四年、大爆発を起こした富士山は山麓農民に甚大な災害をもたらした。代官伊奈半左衛門忠順は被害農民を救済すべく奔走する。自然と闘う人間を雄大なスケールで描く時代長篇。
(上を参照)
雪の炎とは気象学でいう“地吹雪”のことである。その燃え上がるような冷たい美しさをもった一人の女性。山での兄の遭難死に疑問を持った若い女性の愛と苦悩を描くミステリー。
田畑の荒廃は金銭による補償では防げない。今から数十年の昔、日立鉱山の煙害絶滅のために企業と被害者の対立を超えて立ち上がった勇
自然との闘いに人間同士のドラマがかさなる山岳短篇集。「冬山の掟」のほか、「地獄への滑降」「霧の中で灯が揺れた」「遭難者」「遺書」「おかしな遭難」など十篇。(福田宏年)
目を洗われる初夏の霧ヶ峰高原。地元民の心の故郷・旧御射山遺跡の大草原を自動車道が分断する。公害を生む道路建設反対に立ち上った地元民の闘志と友情。(巌谷大四)
有珠山の噴火で昭和新山ができた昭和十九年、報道を怖れる軍部に抗して、観察と保護に努めた男の半生を描く表題作と「氷葬」「雪呼び地蔵」「月下美人」「日向灘」を収録。(解説・小松伸六)
ハイカーの人気を集める槍ヶ岳は百五十年前に初登攀されている。妻殺しの呵責に苦しみながら、ひたすら未踏の道をひらいた播隆上人の苦闘を綿密な取材によって描く。(武蔵野次郎)
霧の岩壁に二人の女性と三人の男が挑んだ。岩は彼らにどんな表情を見せるのか。「岩の顔」と「風が死んだ山」「新婚山行」「しごき」など、遭難した人間たちの異常心理を描く六篇。
イタリア一の大岩峰ドライチンネで事故死した名ガイド、フェデリコの遺児マリアを同時に愛した双生児の兄弟。ドライチンネ登攀に愛を賭けた三人のひたむきな生を見つめる長篇。
天気予報を正確にするには、富士山頂に観測所が必要だ、との信念に燃えて厳冬の山頂にこもる野中到と、命を賭けて夫と行をともにした夫人の行動と心情を感動的に描く。(山本健吉)
織田信長に上洛の先をこされた信玄は、焦慮の末ようやく天下号令の野望達成のため待望の西上の大軍を発する……。大長篇三千枚の完結篇。吉川英治賞受賞!
上杉謙信との川中島の決戦に勝利を収めた信玄は、後継者を四郎勝頼と決め、強敵北条氏を追いおとすべく小田原城進攻の軍を発する……吉川英治賞受賞
父を追放、甲斐の国主となった信玄は天下統一を夢みる(風の巻)。川中島合戦で上杉謙信に勝利(林の巻)。長男・義信の離反に苦しむ(火の巻)。西上の途中に没(山の巻)。(尾崎秀樹)
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