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敗北したときこそ、真価が問われる

敗北したときこそ、真価が問われる

「オール讀物」編集部

長門正貢(日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長)

出典 : #オール讀物
ジャンル : #小説 ,#ノンフィクション

 小説のなかで一番好きなのは『鏡子の家』です。学習院高校に通っているときにOBという縁もあって、三島由紀夫を読み始めました。殆どの作品を読みましたが、赤線を引きながら文章力にうならされたのが、この作品。自信作が評価されず、三島ががっかりしたという話も聞きましたが、私は『鏡子の家』の文体こそが最もビビッドだと感じました。

 ビジネスマンとしての人生を振り返って思うのは、読書というのは、反省する機会のみならず、次へのステップとなるヒントを貰える機会だということです。

 これまで海外のリーダーたちの本を読んでいて、「フォーマイカントリー」という考えに魅かれました。今回、日本郵政の社長を引き受けたのも、最後のお勤めとして、この国のために尽くそうと思ったからです。社長として迎えた今年の新入社員には、いくつかのことを伝えました。一つは、人事異動に一喜一憂するな、と。本気のネバーギブアップで、強い人生観を作ってほしいと。そしてもうひとつ、「not NATO,but NIKE」と伝えた。NATOといっても北大西洋条約機構じゃないですよ、「No Action Talk Only」、つまり、実行しないで会議ばかりしていたらだめなんだと。NIKEの宣伝文句は「JUST DO IT」。これは私自身に向けた言葉でもあります。挫折してもすぐ立ち上がる、このシンプルな人生観を大切にしてきましたから。


お勧めの4冊

『ニクソン――わが生涯の戦い』 (リチャード・ニクソン 著) 文藝春秋

・『ニュー・エンペラー――毛沢東と鄧小平の中国』 (ソールズベリー 著) 福武書店

・『アメリカにおける秋山真之』(全三巻) (島田謹二 著) 朝日文庫

・『鏡子の家』 (三島由紀夫 著) 新潮文庫

長門正貢(ながと・まさつぐ)

長門正貢

1948年生まれ。一橋大を卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、同行常務執行役員。富士重工業副社長、ゆうちょ銀行社長などを経て、4月から現職に

会社メモ:2007年の郵政民営化で発足した日本郵政グループの持株会社。グループ会社として日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、日本郵政スタッフなどを持つ。15年11月に一部上場した

ニクソン わが生涯の戦い
リチャード・ニクソン・著、福島正光・訳

定価:本体2,233円+税 発売日:1991年10月

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オール讀物 2016年7月号

定価:980円(税込) 発売日:2016年06月22日

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