作品
尾張の鉄砲足軽の息子で「猿」と呼ばれる与助が、織田家の小者から身をおこし、太閤秀吉となるまでの一代の英雄記。海音寺史観とユニークな人間観察で痛快に描く長篇大河小説。
没後ますます輝きを増す司馬文学の作品群。司馬さんと交わりのあった作家たちの文章から、あらためてその人と文学を発掘した労作
源頼朝、義経、西郷隆盛、勝海舟――人の褒貶は棺を蓋っても定まらない。時の流れの審問を経れば勝者も敗者もひとしく美しく懐しい。透徹の史眼で縦横に語る著者の小説と随想集。
鎌倉時代、突然蒙古の軍勢が九州に襲来する。周章狼狽するばかりの幕府にあって、敢然と立上がる執権北条時宗の姿を描いた歴史絵巻
朋友あい撃つ伏見・船宿の二階、君命は信ずる理想より重いとする薩摩男児の悲劇。幕末維新史を複雑怪奇にしている寺田屋騒動を、透徹の史眼で明快に分析した傑作。(磯貝勝太郎)
亡き内匠頭の仇討ちのため、故郷を捨て妻を離別し、ひたすらに目的に向う堀部安兵衛、大高源五たち十四人の浪士を赤裸々に描き切る
(上を参照)
幕末黎明期、身分秩序が揺れ始めた薩摩の国。時の家老調所笑左衛門に抜擢された若き郷士・上山源昌房の、社会改革に邁進し、道ならぬ恋に懊悩する姿を赤裸々に描く。(磯貝勝太郎)
歴史の中にはなんと興味深い話が埋れていることか。無類の歴史話巧者が思いつくまま縦横に語る滑稽な話、残酷な話、哀れな話、ためになる話など好評の歴史おもしろ話集。
将軍継嗣問題のしこりから、八代将軍吉宗と尾張中納言宗春はことごとく対立した。綱紀粛正し倹約を説く吉宗を嘲笑うように遊興にふける宗春。その豪胆奔放の果ては?(磯貝勝太郎)
西洋化への時流にかたくなに抵抗する薩摩の島津久光の性格をあざやかな筆致でとらえた「殿様の限界」など、幕末から源平まで歴史のこぼれ話を縦横無尽に語るエッセイ十五篇を収録。
よく知られた松の廊下の刃傷事件から、吉良邸への討入りまでにはいまだに数多い謎がある。無類の歴史通が幾多の傍証をあげ、推理し、うんちくを傾けた抜群におもしろい「義士」論。
妻や子供が語る作家の素顔。色川武大、島尾敏雄、柴田錬三郎、五味康祐、新田次郎、海音寺潮五郎、高見順、金子光晴、梅崎春生等
西郷隆盛を失脚させたのは、大久保利通の誰にも気づかせないほど巧妙な計画によるものである……歴史に深い造詣を持つ筆者が史実をもとに思考をめぐらせた興味津々の話を満載。
宮本武蔵は本当に強かったのか。国定忠治は最後はメカケにも愛想をつかされてしまった……など、無類の歴史好きが史実のうらにひそむおもしろい話をふんだんに語る。(瀬戸口忍)
楚の国の絶世の美女・夏姫は、多くの男に愛されたが、なぜかいつも災いが。中国を舞台にした短篇集。「妖艶伝」「遥州畸人伝」「美女と黄金」「蘭陵の夜叉姫」他五篇収録。(磯貝勝太郎)
上杉謙信は高血圧で武田信玄は低血圧だった。豊臣秀吉は成功者なら誰でもする少年時代の苦労話をなぜしなかったかなど、歴史通の著者が披露する楽しい歴史裏話がいっぱい。
西南戦争に材をとった短篇集。表題作は激戦地・田原坂で、一族が敵味方にわかれて戦う悲哀を描く。「田原坂」「南風薩摩歌」「柚木父子」「風塵帖」「黄昏の丘」他五篇収録。(尾崎秀樹)
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