最前線のフランス・ミステリ 千街 晶之 Akiyuki Sengai|ミステリ評論家
「ああ、懐かしのフランス・ミステリ!」というのが、『その女アレックス』を手に取った際の私の感慨である。これには説明が必要だろう。
 私が海外ミステリに馴染み始めた頃(かれこれ四半世紀ほど昔だ)、英語圏の作品を除けば、最も多く邦訳されていたのは……
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拒絶するアレックス 瀧井 朝世 Asayo Takii|ライター
2014年9月に邦訳が刊行されると、発売後2週間足らずで増刷が決定。その後も版を重ね、年末のミステリランキングの話題をさらっている『その女アレックス』。決して日本で有名なわけではないフランスの作家の邦訳2作目が、特別なきっかけが……
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ドラマとしても超一流 大矢 博子 Hiroko Oya|書評家
この構成には驚かされた。心底、度肝を抜かれた。持っていかれた。希有な読書体験だ。
 だが、それで終わらせてはもったいない。
 冒頭でいきなり拉致監禁された女性、アレックス。警察が現場に急行するも、犯人どころか、被害者がどこの誰なのかもわからないまま時は過ぎる。その間、アレックスは……
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警察小説のダークホース フランスより登場! 三橋 曉 Akira Mitsuhashi|ミステリ評論家
ことミステリに関していうなら、イギリスはフランスに恋をしているのではないか。というのも、伝統を誇る英国推理作家協会(CWA)は、2006年に“インターナショナル・ダガー賞”を新たに設け、非英語圏の作品に門戸を大きく広げたが、……
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著者プロフィール

ピエール・ルメートル Pierre Lemaitre
1951年、パリに生まれる。教職を経て、2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作Travail soignéでデビュー、同作でコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ賞を受賞した。本作『その女アレックス』はヴェルーヴェン・シリーズ第2作で、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞を受賞。日本では「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」ほか4つのミステリ・ランキングで1位となった。2013年、はじめて発表した文学作品Au revoir là-hautで、フランスを代表する文学賞ゴンクール賞を受賞する。