シリーズ紹介
シリーズ第1弾 「まほろ駅前多田便利軒」
「おひとよしだねえ。まさかホントに追いかけてくるとは思わなかった」
試されたことに対する怒りは薄かった。
まにあってよかったという安堵が胸に湧き、多田は大きく息を吐いた。
「今晩だけだぞ」
本文「多田便利軒、繁盛中」より
便利屋としてバスの運行状況を調べる仕事から帰る途中、多田は高校時代の同級生だった行天と十数年ぶりに再会する。多田は高校時代とだいぶ様子が変わっている行天から泊めてくれと頼まれ、一度は断る。しかしある負い目を思い出した多田は、結局行天を泊めることになり――ここからふたりの奇妙な共同生活が始まった!
三浦しをんさんは本作で第135回直木賞を受賞。また同作は瑛太・松田龍平のW主演で映画化(監督・大森立嗣)、2011年に公開された。単行本2006年3月、文庫本2009年1月刊行。
シリーズ第2弾 「まほろ駅前番外地」
「私のろまんす、聞きたいかい」
「べつに」
「遠慮しなくていいよ。
私が行天とはじめて会ったのはね……」
「なんで俺なんだよ」
本文「思い出の銀幕」より
多田・行天の物語とともに、シリーズ第1弾「まほろ駅前多田便利軒」に登場した星良一、曽根田のばあちゃん、田村由良(ゆら)、岡老人の細君などが主人公となるスピンアウトストーリー(「光る石」「星良一の優雅な日常」「思い出の銀幕」「岡夫人は観察する」「由良公は運が悪い」「逃げる男」「なごりの月」)を7編収録。上述の会話は仕事で病院に見舞いに行った行天と曽根田のばあちゃんのもの
本作はオリジナルストーリーも加えられ、前作同様に瑛太・松田龍平のW主演で2013年にTVドラマ化(全12回・監督・大根仁)された。単行本2009年10月、文庫本2012年10月刊行。