お知らせ

『売国』とは

気鋭の検察官・冨永真一と、宇宙開発に挑む若き女性研究者・八反田遙。物語は二人の視点から描かれていく。

遙は幼い頃から宇宙を夢見、日本の宇宙開発を担う研究者になるべく日々奮闘中。宇宙航空研究センター(宇宙セン)の指導教官・寺島に導かれ、我が国の宇宙開発の現状と問題点を目の当たりに。それは宇宙開発の世界が生き馬の目を抜く世界であり、同盟国・アメリカとの関係の複雑さに触れることでもあった。

一方の冨永は、形勢不利だった殺人事件の裁判を検察勝利に導いた功績を認められ、特捜部に配属されるが、粘り強く次々に成果を出していくさなか、大学時代の親友の失踪を機に、奇妙な疑獄事件に巻き込まれていく。そしてその陰謀には、戦後の日本復興を支えた大物政治家の影があった……。

正義とは何か? 国益とは何か?

精緻な描写と骨太のストーリーに、誰もがページを繰る手を止められなくなるはず。日本の社会派小説の歴史は、ここからまた始まる!

真山 仁、10年目の挑戦 なぜいま「宇宙開発」なのか

作家生活十周年、記念イヤーの第一弾として刊行される本作。「金融」に「エネルギー」、そして「農業と食」といった日本の中核をなす問題に切り込み、現代社会の光と影を見つめてきた真山仁が今回選んだのは「宇宙開発」だった。

刻々と進化し続けるこの分野を捉えるために、現場を知るたくさんの方に取材させて頂くなかで実現した「対談」と「ルポルタージュ」を、本作のサブテキストとして公開したい。日本のロケット開発を支えるJAXA名誉教授・的川泰宣氏との対談と、ワシントンDC、ヒューストン、ロサンゼルスと米国の宇宙開発の現場を取材した記録「アメリカはなぜ本気で火星を目指すのか」だ(それぞれ『文藝春秋』2013年11月号、2014年5月号掲載)。

なぜいま「宇宙開発」なのか。上記のインタビューとともに、本作をさらに深く読み解くための一助にしていただきたい。

これまでの取材記事

真山仁(Mayama Jin)

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収をめぐる熱き人間ドラマ『ハゲタカ』でデビュー。 2007年に『ハゲタカ』『ハゲタカII(『バイアウト』改題)』を原作とするNHK土曜ドラマ『ハゲタカ』が放映され、大きな反響を呼ぶ。同ドラマは国内外で多数の賞を受賞した。他の著書に『虚像の砦』『マグマ』『ベイジン』『プライド』『黙示』『コラプティオ』『グリード』『そして、星の輝く夜がくる』などがある。

真山 仁 - JIN MAYAMA Official Home Page -