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女子医専を卒業した千花は、故郷の寒村へ三年限りの約束でいやいや戻った。極貧の村人はめったに診察を受けず、千花の苦闘が続く
文庫時代、読書人にとって真の伴侶にふさわしい六十三冊を精選。読書の達人が精魂こめて案ずる読みどころ。まさに蘊奥極めた一冊
ローマ法王庁が認めた唯一の避妊法「オギノ式」の生みの親、荻野久作。世界的発見を成し遂げた一介の町医者の執念を描いた医学小説
小説中の殺人は、医学的に不可能なものが多い。推理作家にして医学博士の著者ならではのミステリー診断書。さて毒薬はどんな味?
東大を中退してハーバードへ入学したモーリーは、スノッブな学園生活が耐えられない。パンクロックのバンドを結成し反逆を企てる
かつて一度だけ関係のあった、父の後妻の連れ子である「弟」がアメリカから帰ってくる。夫と「弟」との間で揺れる複雑な感情……
『遠雷』から十年。燃焼しきることの出来ない青春を見つめ続け、ライフワークともいうべき通奏低音を響かせる新たな「雷」の閃光
世界の指導者をよく知るニューヨーク・タイムズ記者が豊富な実地検証の経験を踏まえてこの四十五年間を描いたグローバルな現代史
(上を参照)
一見身勝手で不器用な明治の武人とそれに殉じた妻。“軍神”“烈婦”とたたえられた乃木夫妻の間に交錯した愛憎を描き、秘められた真実の声をさぐる伝記文学の傑作。(清原康正)
私生活、文壇、編集者、作家、書物など、実名で一刀両断した文学部唯野教授も思わず仰天する恐怖の日記を敢えて公開。登場する関係者を震えあがらせたいわくつきの書。(平石滋)
南北戦争当時、白人でありながらインディアンになろうとした北軍士官がいた。ふとした奇縁で足を踏み入れたその地にこそ本当の自分があると悟ったのだ。叙事詩的感動の書。映画化。
蒙古兵の槍で孫の恨みを晴らそうとする老人の執念を描く表題作ほか、「人名の墓」「巨船」「長すぎた夢」「三十人目の女」「鉄砲修業」「献上博多」など六篇の物語。(秋山駿)
この子は大きくならなきゃよかったのに――学生街の食堂の老主人と娘との淡い哀歓をえがく人生スナップをはじめ、都会の一隅の細やかな人間模様を見事にえがく十七の短篇佳作集。
かつて韓国青年の面倒を見ていた祖父。青年に魅かれていった若き日の母。時は流れ、遠来の客は少女に母の青春のかげりを明らかにしてゆく。「麦、さんざめく」「残光」併録。(島弘之)
どんな悪い世の中になっても“女はオイ! 男はハイ…”などという時代にならないことをこいねがって、酒場、プロ野球、歌、恋愛、金などの話を軽快なタッチで綴るイキな読物。
いくたびもの再発ガンで声を失い小脳転移という状態に陥っても、死へ近づいていく自分自身を冷静に観察し、出来るだけ正確にレポートしようとしたジャーナリストの日記。(千葉明子)
BC級戦犯として処刑された男と甲子園を目指し投げ合った元巨人軍投手スタルヒンを描く表題作と「端島の女」の直木賞受賞作を含む作品集。「頭領と親友」「夜の運河」収録。(郷原宏)
親友とのおしゃべりは楽しい。ご馳走の食卓を囲んでいれば尚更だ。冨士眞奈美、岩城宏之ら九人の友人たちと、もてなされたりもてなしたり。おいしい簡単レシピつき。(阿川佐和子)
キップに弁当までつけた官営対民営鉄道の対決など、蒸気機関車が活躍した日本の百年、その世相を反映した珍談奇談を、イラスト、地図を多数挿入して紹介した楽しい鉄道雑学読物。
縄文土偶、天皇陵、飛鳥の石造物等の七つの謎を解明するとともに、吉野ケ里など遺跡ベストテンを選ぶ鼎談、噴火に埋没したムラの発掘記ほか、考古学最前線からのレポートを満載。
亡母が〈盆戻り〉で家に帰ってきた。ある朝おれの家がゆっくり陥没し始めた。突然全ての字が見えなくなった……愉快で奇怪な短篇11
戦前からアメリカで活躍していた日系カメラマンが半世紀以上にわたってロスで撮り続けた懐しい日米の“大スター”たちのフォト集成