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明治42年、公爵伊藤博文は満州視察中、ハルビン駅頭で韓国人安重根によって射殺された。二人の運命的な出会い迄を克明に描く長篇
「吉田肉腫」の発見で癌研究の道を切り拓いた病理学者吉田富三。癌細胞を師として顕微鏡で考えた七十年の生涯を描ききった感動の書
日本の西洋画の祖たる高橋由一。そして「土木県令」こと三島通庸。二人の明治の巨人が栗子山隧道建設を機に対決する雄渾な歴史小説
偉大なる天才はなぜ女性が描けないのか? 男性的な映像美の中に秘められた真実にせまる「謎解き黒澤明」。キネマ旬報読者賞受賞
ソ連崩壊後、激変を続けるモスクワ。そのカオス状況の中にロシア人の心のふるさとの面影と魅力を追い求め、明日の再生の夢を紡ぐ
南ドイツの湖畔の村、少年の日々の節目毎に、なぜかいつも出会う謎の人、ゾマーさん、絵と文が語りかける、最高のギフトブック
海賊船に乗り組んだ少年が体験する死とナンセンスを描く「リタ・ヘイワースの乳房」ほか、三島・芥川両賞受賞の著者の最新短編集
エイズ、ゲイ、ドラッグ、SM……。鮮烈な感覚の女性作家が、国際都市ニューヨークと東京を舞台に描き出す“新らしい愛のかたち”
独創的・先見的発想と抜群の説得力で日本電子工学を育てたTV用アンテナ発明者の足跡。湯川秀樹、江崎玲於奈、西澤潤一らも登場!
金日成独裁の北朝鮮からソ連に留学して、かの地の女性と恋に落ち、韓国に亡命して平和な家庭を築いた青年の波瀾とロマンの日々
一通の投書から新聞社主催の南仏国際駅伝計画が動き出す。仕事に賭ける男のロマンと投書したOLの秘かな狙いが交錯。詩情あふれるプロヴァンスを舞台に苛烈な人間ドラマが……。
(7を参照)
肉親の死、戦争による死、突然の死……さまざまな死に鋭い観察の目を向け、人の生の不条理を円熟した筆致で描く短篇集。「金魚」「煤煙」「秋の声」「標本」「緑雨」他五篇収録。(桶谷秀昭)
天智帝のひめみこ山辺は皇后の座にいま一歩で……古代朝廷に渦巻く熾烈な権力争いと恋の顛末。「裸足の皇女」「殯の庭」「恋の奴」「黒馬の来る夜」「水城相聞」他四篇収録。(磯貝勝太郎)
八十年前に生きていた少女に、僕は恋をした――。結ばれぬ恋、せつない愛、一つ屋根の下で暮す夫婦の恐さ、滑稽さ。男と女の信じ難い“縁”をテーマにした傑作アンソロジー。(多岐祐介)
一九四五年八月十五日まで私は、日本の勝利に疑問を発する母に「非国民」という言葉を投げる少女だった――繰り返してはならぬ戦争の悲惨を胸に死者たちの声を記録する旅は続く。
命を賭けて紀州みかんを江戸へ輸送し、巨万の利を得、材木商、貨幣改鋳で財を築いたが、一代で潰れた豪商紀伊国屋文左衛門の波瀾万丈の生涯を活写する。(多岐祐介)
組織は環境の変化に適応して自己変革しなければ崩壊する。日本海軍はその不幸な道を辿った。海軍大学校のエリート教育が生んだ十人の代表的参謀を検証し、あぶり出された幹部の条件。
人に一家言あり。凧絵師、幇間、あるいは木登り等、一芸に秀でた人たちの滋味あふれる言葉、そして桂文楽、ナベサダ、淀川長治、加藤唐九郎等、至芸の人達の人間の味を綴る。(矢野誠一)
四月の雨に濡れて沈黙する森はとても哀しい――。叙情、饒舌、寡黙。さまざまな語り口に、繊細にしてしたたかな筆者の姿が浮かび上る。爽快な寂寥漂う好エッセイ集。(奥本大三郎)
一九六四年、ヒトラーの七十五歳の誕生祝賀行事とケネディ大統領の訪問を控えたベルリンで、ある政界大物の死体が発見された。大胆にして奇抜な発想で描く政治ミステリーの話題作。
イチゴ農園で働く長兄を頼って渡米した作者の土と汗、笑いと悲しみの日々を臨場感溢れる筆で描き、広く共感をよんだ大宅賞受賞作。真率で衒いない異色のアメリカ物語!(本田靖春)
(上を参照)
洋画一位は『マダムと泥棒』、邦画一位は『十三人の刺客』。洋・邦三百本の名作をあらかた見つくしてしまった映画ファンに捧げる隠れたる名品全百五十三本! キミは何本見ているか!?
北国の小藩・海坂、清流と小立に囲まれた組屋敷、一人の少年藩士が成長する姿を描く「蝉しぐれ」と、朋友相喰む熾烈な覇権劇「風の果て」
恋した相手は中国人の女性だった。魅力的な彼女の向うに、どこか懐かしい大陸の光景が漂う……。話題の表題作を含む久々の創作集
昭和の幕開けから昭和天皇の崩御まで――イデオロギーに歪められた時代の本当の姿を西洋史家の醒めた眼で把え直した体験的昭和史
病いと闘い、迫りくる死を直視しつつ綴られた日記、手記、詩歌など四作。限られた生を完全燃焼した人のみが遺せた愛と感動の記録
航空機事故、四日市・水俣の公害など、現代人の生存を脅かす事故・環境破壊と、それを生みだす高度技術社会の矛盾を抉った四傑作