作品
藩衰亡を防ぐため、家老から追腹を禁ぜられた又右衛門。跡取りの切腹、身内や家中の非難の中、ただひたすらに生きた十二年を問う
希望を胸に上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。味覚の違いに悩みながらも恋女房に助けられ表通りに店を構える。傑作人情時代小説
「私」はモツを串に刺し続けた。女の背中には迦陵頻迦の刺青があった……。救いのない人間の業と情念を見事な文章と技法で描く傑作
夏姫は天上の台に駆け上った。三人の男をはしごにして。しかしその膚肌の裡には底知れぬ淵があり夏姫は心烈しくその空虚に耐えた
三夫二君を死にいたらしめたとされる神話的美女・夏姫は真の悪女だったのか? 戦争と愛を雄渾な筆で描きだす歴史叙事詩の名品!
乳ガンの手術後、何をするのもかったるい25歳の春香。この洞窟の出口はどこにある? 働かない彼女たちに現在を映す恋愛小説集
大正初め、徳島のドイツ人俘虜収容所で例のない寛容な処遇がなされ、日本人市民と俘虜との交歓が実現した。所長こそサムライと称えられた会津人の生涯を描く直木賞受賞作。(山内昌之)
故郷の町の自動車エンジン工場からF1チームのメンバーに選ばれた男の充実した人生、そして三年間の出向を終えて帰郷後の脱力感を描く、第百十一回直木賞受賞作。(田辺聖子)
夫と妻、親と子の結びつきとは? 薔薇園に暮す人々を通して、深く濃いかかわりを避ける今日の人と人の関係を問う表題作ほか四作
女浄瑠璃、手習いの師匠、料理屋の女将など江戸の町を彩るキャリアウーマンたちの心模様を描く直木賞受賞作。「恋風」「男の八分」「後姿」「恋知らず」「恋忘れ草」他一篇収録。(藤田昌司)
願いごとがこぼれずに叶う月か……。鬼監督と呼ばれた男が、引退の日、空を見上げていた。表題作ほか、選考委員の激賞を受けた「切子皿」など七篇。感動の直木賞受賞作。(長部日出雄)
出羽の雪深き山里に赴任した青年は深い失意の日々を送るが、策略をかわし苦難に耐え、逞しい武士に変貌を遂げていく。感動と共感の直木賞作品。「厦門心中」「小姓町の噂」併録。(赤木駿介)
二十五歳から文筆生活に入って三十数年、地方に在住してひたすら歴史小説を書いてきた著者の初のエッセイ集。直木賞受賞作「海狼伝」が出来るまでの苦労話など興味ある話を満載。
思い出の家が見つからない。同窓会のため久しぶりに郷里を訪ねた主人公の隠された過去とは……。表題作等、もつれた記憶の糸が紡ぎ出す幻想の世界、七篇。直木賞受賞作!(川村湊)
“歌に生き恋に生き”た世界的に名を馳せたオペラ歌手藤原義江。英国人の貿易商を父に、下関の琵琶芸者を母に持った義江の波瀾の人生を描いた直木賞受賞作。(田辺聖子)
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