自分の手で自分の家を建てるーーこれこそ「男のロマン」ではないか!
フリーカメラマンの阪口克氏はある日、本屋で偶然、ログハウスの本を手にしたことをきっかけに自分で自分の家を建てるという夢にとりつかれます。まずは妻を説得し、その勢いでさっそく土地探しを始めました。東京、埼玉、千葉とめぐり、手に入れたのは埼玉・長瀞で見つけた288坪の土地。ところが、素晴らしい土地を手に入れたものの、そこではたと立ち止まってしまいます。実は阪口氏、大工経験ゼロで、最後にのこぎりを持ったのはいつだったか、というくらいDIYにも縁がない。なんで自分で家を建てるなんて考えてしまったのか、いったい俺は何から始めればいいのだろう……、貯金をはたいて買った土地を前に途方にくれるばかり。
しかし、このタイミングで待望の娘が誕生しました。こうなると途方にくれている暇はありません。娘のためにも新しい家を建てなくては、考えていても家は建たない、とにかく動くしかない、と阪口氏は自らを奮い立たせ、家の設計、電気水道の設置、材木店での材木購入、材木の加工と手さぐりで進んでいきます。
周囲の人たちの力も借りながら2年をかけてなんとか棟上げまでたどりつきますが、素人の工事がそんなにうまくいくはずもなく、ここからはトラブルの連続。屋根の断熱材が強風で何度もとばされて心が折れそうになったり、配管工事の溝掘りを失敗し、雨中の堀り直しで泥だらけになったり、記録的な大雪に見舞われ、完成前なのに家崩壊の危機を迎えたり……。娘はすくすくと成長していきますが、工事は遅々として進まず。いったいいつになったら家族は新居に入れるのか? 妻からも娘の小学校入学までには、と急かされますが、難題は次々と現れます。
家をセルフでビルドしたい、と思い立ってしまったアラフォー大工素人カメラマンが、6年の歳月を費やし、試行錯誤悪戦苦闘の末、ついにマイホームを自力で完成させるまでを綴りました。汗と笑いと涙の建築記であり、家はどうやって作られるのかを知ることができる実用書であり、ひとりの男が夢をかなえる年月を追体験できるノンフィクションです。
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