ー夢を叶えるために生きてきたんだー
あらゆるメジャー・レコード会社のディレクターやスカウトマンが集まった1990年代後半の下北沢のライブハウス。すべてのミュージシャンの目前に巨大なルーレットが置かれていた。
NONA REEVES 西寺郷太、初の自伝的小説!
僕は相変わらず大学や下北沢から家に帰ると寝る間も惜しんでダビングを繰り返していた。デモテープを配った相手にアンケートを渡し、そこに書かれた住所に美しくデザインされたダイレクト・メールを送る。お金に関して言えばまだすべて持ち出しだ。しかし、そんな日々を繰り返している中で「ファン」と呼べるような何人かが僕の周りに生まれ始めている。ようやく上京してから、いや音楽の道を目指してから永遠に続くかと思われた長い「スランプ」のトンネルを抜け出そうとしている実感が湧いてきた。
「やったるでー!」
ひとり暮らしの東中野ヒルズで布団にくるまりながら、僕は大声で叫ぶ。
(本文より)
第一章 Once Upon A Time In SHIMOKITAZAWA
九四年・冬 ― 九五年・春
第二章 BIRD SONG 自由の小鳥
九五年・春 ― 夏
第三章 Distortion And Me
九五年・夏 ― 九六年・春
第四章 End Of A Century
九六年・夏 ― 九九年・夏
最終章 See You Again
九九年・夏 ― 二〇〇一年・冬
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