2008年のリーマン・ショックに始まる「グローバル恐慌」は、現在もなお続き、その第2幕は「ユーロ危機」となって現れました。グローバル資本主義の時代にあっては、いかなる事象も「対岸の火事」ではありません。日本はどう生き延びていけばいいのか。浜氏が現状を分析し、日本が進むべき道を提示します。
現在の「グローバル恐慌」の根源には、国境を越えて自由に動き増殖する資本と国民国家体制の齟齬があります。それぞれの国民国家が切磋琢磨し、国富を増やすことで国民を豊かにできた時代は終わりました。しかし、先進諸国は、いまだにその齟齬に気づきながらも、新しい「国富論」を見いだせずにいます。
たとえば、グローバルな資本が安価な労働力によって作った安価な商品が外国からもたらされ、国内の雇用が奪われ、税収が減少するなか、福祉を維持しようとすれば、財政赤字が蓄積していく。そんなとき、自国出身のグローバル資本(たとえばユニクロ)に「出て行かないでくれ」といっても、聞く耳を持ってはくれません。こうして先進諸国はグローバル資本主義に対して、緊縮財政、自由貿易の規制(保護主義)と「愛国消費」によって対抗しようとしますが、この「自分さえよければ」という発想からなされる行動を先進諸国がとればとるほど、国際貿易は縮小し、それぞれの国民は窮乏化していきます。
しかし、逆に人間活動のすべてを市場原理に任せよ、というグローバル資本の要請にしたがって、国民国家が国民生活のインフラ(教育、医療、福祉など)から手を引けば、超格差社会が出現するのは目に見えています。「自分さえよければ」ではなく、「あなた(君)さえよければ」という発想で、経済活動を構築しなおすときが来ています。そのためにはどうすればいいか。根源的な考察と大胆な提案を問う新しい「国富論」です。
ご希望のデータがダウンロードできない場合や、著者インタビューのご依頼、その他の本の紹介に関するお問合せは、直接プロモーション部へご連絡ください。
雑誌・書籍の内容に関するご意見、書籍・記事・写真等の転載、朗読、二次利用などに関するお問合せ、その他については「文藝春秋へのお問合せ」をご覧ください。
※外部サイトに飛びます
感想を送る
本書をお読みになったご意見・ご感想をお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社ウェブサイト、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただく場合がございます。
※いただいた内容へのご返信は致しかねますのでご了承ください。
※ご意見・ご感想以外は、こちらから各部門にお送りください。