四半期決算を廃止せよ! 長期保有株主を優遇せよ! 日本が新しい経済ルールをつくる!
日本が率先して、「21世紀の新しい資本主義=公益資本主義」を世界に示すべきだ――確信をもってこう断言するのは、「理論や理想ばかりを説く経済学者」でも、「資本主義に反対する社会主義者」でも、「海外を知らない国粋主義者」でもありません。最も競争の激しいビジネスの本場、米国シリコンバレーで、数々の成功を収めてきた「最強のベンチャー事業投資家」です。
著者の原丈人さんは、考古学研究を志していたところ、発掘の資金稼ぎのため、米国のビジネススクールに通うことになり、さらに先端工学も学び、米国で自ら事業を起こし、大成功を収めました。その後、その資金を元に、独自の判断で、情報技術を中心に新技術を創出する数々の企業の起業・経営に参画し、シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストとして活躍しました。しかし、そんな経験から、米国流ビジネスの限界と問題点を身をもって知っているのです。
株主優先、四半期決算、時価会計、社外取締役制度など、「会社は株主のもの」とみなす「米国流の株主資本主義」の導入が「改革」と称されていますが、むしろ弊害を生んでいます。「企業ガバナンスの優等生」と称された東芝の惨状がその証しです。「会社は株主のもの」という考えでは、投資や経営が、短期利益重視となり、新技術開発に回わすべき中長期資金、真にリスクをとる投資が不足しています。税制や金融のルールを改めることで、マネーゲームに回っている資金を中長期投資へと導くことこそ、「公益資本主義」が目指す「成長戦略」です。
実は、中長期経営を重視する日本型経営こそ、「公益資本主義」の雛形です。米国を反面教師にし、今こそ日本が新しい資本主義のルールを示すべきなのです。
・はじめに
■1章 グローバリズムの終焉
・グローバル化による格差とテロの拡大
・340億円の従業員給与削減で200億円のボーナス
・株価対策のための人員削減
・株主資本主義――「会社は株主のもの」
・ROEのための資産縮小
・上場時の株価は低い方が良い
ほか
■2章 日本と世界を滅ぼす株主資本主義
・株価優先から生じる粉飾決算
・株主優先のコーポレート・ガバナンス
・不正会計を助長するアメリカ流ガバナンス
・四半期決算重視が生みだした不正会計
・株式上場で資金が流出する
・株式保有の短期化
・時価会計と減損会計は間違っている
・内部留保は会社の生命線
・リニアは米国では開発できない
ほか
■3章 アメリカでアメリカモデルの限界を知る
・すべては鉄道から学んだ
・父から受け継いだ自立心
・ピラミッドと出会い、鉄道から考古学へ
・考古学からベンチャーキャピタルへ
・ディズニーへの飛び込み営業で信用を得る
・シリコンバレーに真のベンチャーはいなくなった
ほか
■4章 公益資本主義とは?
・「売り手よし、買い手よし、世間よし」を重んじてきた日本型経営
・新しい企業価値の3つの指標
・創造性、幸福感、柔軟性を備えた企業の姿とは?
・「金融」の新しい定義
・欧米型経済とも中国型経済とも異なる第3の道
・豊かな日本の個人資産を活用する方法
・投資減税で技術開発を促す
ほか
■5章 公益資本主義の12のポイント
・ルール① 「会社の公器性」と「経営者の責任」の明確化
・ルール② 中長期株主の優遇
・ルール③ 「にわか株主」の排除
・ルール④ 保有期間で税率を変える
・ルール⑤ ストックオプションの廃止
・ルール⑥ 新技術・新産業への投資の税金控除
・ルール⑦ 株主優遇と同程度の従業員へのボーナス支給
・ルール⑧ ROEに代わる新たな企業価値基準「ROC」
・ルール⑨ 四半期決算の廃止
・ルール⑩ 社外取締役制度の改善
・ルール⑪ 時価会計原則と減損会計の見直し
・ルール⑫ 日本発の新しい経済指標
■6章 公益資本主義・実践編――モノづくり最適国家の実現
・基幹産業は時代ごとに代わる
・先端医療の「国家戦略特区」
・世界の難病患者を救う
・先端医療国家戦略特区がもたらす莫大な経済効果
■7章 対談 GDP600兆円実現のために 原丈人・藤井聡
・「日本型経営」はすべてダメ企業?
・ROEを推奨する「伊藤レポート」のおかしさ
・公益資本主義への流れはすでに始まっている
・日本は「モノづくりヘイブン」を目指せ
・GDP600兆円と格差是正を同時に実現
ほか
・あとがき
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