なぜあの人は「空気が読めない」のか?
近年、ドラマや小説の主人公に「発達障害」を思わせるキャラをよく見かける。たとえばアメリカの人気ドラマ『クリミナル・マインド』の主人公リード。FBIのエリート捜査官で、IQ187。飛び級を繰り返し、カリフォルニア工科大学で数学、化学、工学の博士号を持ち、あらゆる古典に精通するリードは、驚異的な記憶力と分析力で難事件を解決してゆく。しかし、対人関係が苦手で空気が読めないため、周囲からは煙たがられている。
2016年にヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)の主人公である津崎平匡にもその傾向がある。高学歴で仕事の評価は高いが、対人関係が苦手で36歳の今まで童貞という設定である。津崎は些細なことへのこだわりが強い。あるいは映画『風立ちぬ』の主人公のモデル堀越二郎は、東京帝大航空学科を首席で卒業し、零戦を開発した天才技術者だったが、人間関係が苦手で細かいことにこだわりすぎ、しばしばトラブルを起こした。
こうした発達障害の特性をもつキャラがポピュラーになった影響で、精神科の現場では「自分は発達障害かもしれない症候群」がみられる。「他人の気持ちがわからない人」「空気が読めない」ことを家族や同僚から指摘され、外来を受診する人が増えているという。
その一方で、誤解も多い。長年連れ添った妻から「あなたは発達障害だ」と言われ、受診させられるケースも多い。動機や犯行手段が不可解な少年犯罪で、「アスペルガー症候群」との関連が不適切に取り沙汰されたこともある。
本書は、日本初の「発達障害のためのデイケア」を運営する病院長が、
・発達障害とは何か?(正しい知識)・彼らが抱えている問題は何か?(課題)・どのように社会が受け入れていくべきか?(社会の対応) ……を、豊富な症例をもとに、初心者にもわかりやすく解説した作品である。
事件の精神鑑定の裏側、天才(驚異的な記憶力、共感覚など)など、興味深い症例も盛りだくさん。
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