ヒロシマ、ナガサキ 隠された真実 三山秀昭

価格:※各書店サイトで確認してください
発売日2026年07月17日
ジャンルノンフィクション
コード1666153700000000000I
『ヒロシマ、ナガサキ 隠された真実』(三山秀昭)

ヒロシマ、ナガサキ 隠された真実 三山秀昭

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発売日2026年07月17日
ジャンルノンフィクション
コード1666153700000000000I

戦後80年、あらためてファクトを問う

 オバマ大統領が広島に歴史的な訪問をしてから10年。2024年には日本被団協がノーベル平和賞を受賞。ヒロシマ、ナガサキの悲劇については、すでに定説が確定したと思われてきた。ところが、実際はそうではないという。
 たとえば、「広島は“軍都”だったから原爆が落とされた」とよく言われる。たしかに広島は第五師団の根拠地であり、日清戦争では大本営が置かれるなど、日本有数の軍都であった。だからといって、アメリカは広島を原爆投下地として選んだわけではない。そのことは、アメリカの公式資料にはっきりと書かれている。アメリカはできたばかりのこの新兵器(広島に落とされたウラン型の原爆は、長崎に落とされたプルトニウム型を違って、爆発実験すらしていない)がどのような効果を発揮するのか、きわめて慎重に観察しようとした。責任者のグローブス将軍が言うところの「実戦実験」であったのだ。そのための条件とは、軍都であることなどではなく、①これまで空襲されていない無傷の都市であること、②平野部であること、③人口密集地であること、④効果の測定が容易であること、⑤3マイルの外にも市街地が広がっていること――などであった。これらの条件にかなう最良の候補地(AA)は、京都と広島であった。軍都とはかけ離れた京都が最後まで候補地であったことからも、「広島は“軍都”だったから原爆が落とされた」わけではないことがわかる。
 こうしたファクトの間違いについて、オバマ米大統領の広島訪問の仕掛け人の一人であった筆者が、あらためてチェックしたのが本書である。
 たとえば、多くの人が「あの日、小倉がたまたま曇りだったから原爆は長崎に落とされた」と思っているが、はたしてそうか。
 実際、当日の小倉の天気は晴れだった。では、なぜアメリカ軍は小倉への投下を断念したのか。米軍の機密公電記録には「some haze and heavy smoke」が原因であると記されている。「もやと濃い煙」――これは、小倉にあった官営八幡製鉄所の工員たちがコールタールを燃やしてはった煙幕が主なる原因であったことを示している。つまり、曇りという自然現象ではなく、煙幕という人間の行為が、小倉を災厄から救い、代わりに長崎に悲劇をもたらしたのである。
 このように、長く信じられてきた16の間違った理解、埋もれてきた事実、隠された真実、ユニークな都市伝説、不正確な言い伝えや誤解、曖昧なままにされている伝聞情報、タブーとされてきた領域、独り歩きする「推計値」などをファクトの視点から検証した、ヒロシマ、ナガサキ理解の決定版!

 

目次

まえがき  

一 間違った理解  

アメリカにとって原爆投下は「実戦実験」であり、冷徹な軍事理論だけで原爆の投下地を決定した。そこにヒューマニズムが入り込む余地などなかった。

㈠  広島は「軍都」だったから原爆が落とされたのか?  
㈡  広島には捕虜収容所がなかったから原爆が落とされたのか?       
㈢  アメリカは本土決戦になれば失われるであろう百万人の米兵の命を救うために原爆投下を決断したのか?

コラム1 アメリカの世論は変化しているか?  
コラム2 なぜアメリカ人は広島を訪れるのか?  

二 埋もれてきた事実  

「自分たちが煙幕を張ったせいで八幡、小倉は助かったが、長崎の人に大変な迷惑をかけた」──その言葉には、長く記憶の底に沈めてきた「心の澱」が感じられた。

原爆はなぜ小倉ではなく長崎に落とされたのか?  


コラム3 原爆の投下時刻を知っていますか?  
コラム4 思っているより多い「二重被爆者」

三 隠された真実  

長崎の「被爆遺構」浦上天主堂の解体は日本人司教の宗教的信念なのか、それともアメリカの「見えない力」が働いた結果なのか。アメリカ人の心に残る「負の遺産」の真実に迫る。

原爆ドームは保存され世界遺産になったのになぜ浦上天主堂は取り壊され再建されてしまったのか?

四 ユニークな都市伝説  

当時の事情を考えるとやむを得ないとも言えるが、結局、新聞の誤報が誤解を広めてしまったのだ。また、広島名物お好み焼き誕生の裏には、思いもよらない秘話があった。

㈠  原爆は落下傘に吊り下げられて投下されたのか?  
㈡  広島名物お好み焼きは「戦争未亡人」が始めたのか?  

五 不正確な言い伝えや誤解

言い伝えには事実が混ぜこぜにされ、ストーリー化されたものが少なくない。そこに理想や願望が入り込むと、事実とますます離れた誤解が広まってしまうことになる。

㈠  米軍は原爆投下前に警告ビラを撒いたのか?  
㈡  三発目の原爆は東京に落とされるはずだったのか?  
㈢  原爆投下は国際法違反なのか? 

六 曖昧なままにされている伝聞情報  

善意に基づく解釈が当たっているとは限らない。当事者がまったく意図していない良心的な想像によってみんなが振り回されることもある。

㈠最初の原爆は広島ではなく新潟に落とされるはずだったのか?  
㈡広島に駐留したGHQが米軍ではなく英連邦軍だったのは反米感情の高まりをアメリカが恐れたからなのか?

七 タブーとされてきた領域  

広島の医師が「首を突っ込まない方がいい」と注意したテーマは何か? 背後には市民の欺瞞ではなく、国家の身勝手な思惑が渦巻いていた。

㈠  被爆者数が当時の人口より多いのはなぜか?  
㈡  「被爆体験者」とはどういう人を指すのか?  

コラム5 広島、長崎には十一もの被爆者団体がある  

八 独り歩きする「推計値」  

海外から「広島の死者数は大げさ過ぎないか」と指摘された被爆死者の数。数字が膨らんだのはなぜか。また、政府はなぜ調査に消極的なのか?

㈠  十四万人の被爆死者数はどうやって算出されたのか?  
㈡  韓国人被爆者の数は「多過ぎる」のか?  

あとがき  

主な参考文献  

担当編集者より

広島、長崎の悲劇はあまりに衝撃的だったため、冷静な視点での事実の検証が十分ではなかったように思います。被爆者の方々の苛烈な運命には涙を禁じえないものがありますが、それとは別に、実際に起きた事実を確定しなくてはなりません。戦後80年を過ぎて、さまざまな出来事が歴史へと変わっていく節目に出された本書は、ヒロシマ、ナガサキの真実を描き出しています。たとえば、私も「あの日、小倉がたまたま曇りだったから原爆は長崎に落とされた」と思っていました。しかし、本書によると当日の小倉の天気は晴れだった。では、なぜアメリカ軍は小倉への投下を断念したのか。米軍の機密公電記録には「some haze and heavy smoke」が原因であると記されている。「もやと濃い煙」――これは、小倉にあった官営八幡製鉄所の工員たちがコールタールを燃やしてはった煙幕が主なる原因であったことを示しているのです。つまり、曇りという自然現象ではなく、煙幕という人間の行為が、小倉を災厄から救い、代わりに長崎に悲劇をもたらしたというのです。悲劇の本質に一歩近づいた気がしました。

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