札差の西門屋慶左衛門は金もあれば男ぶりもよく、江戸で評判の女好き。姦婦おきんと愛欲にまみれ、遂に亭主を殺して妾にしたが…
恋愛小説の第一人者である著者初の、官能時代小説です。舞台は花のお江戸。札差の西門屋慶左衛門は金もあれば男ぶりもよく、評判の女好き。夫と組んで美人局をしていた姦婦おきんは、最初たらしこもうとした慶左衛門に惚れ、夫に毒を盛る。慶左衛門の妾となったが、正妻お月と同居することになり、他にもおりんという女がいることを知って愕然とする。張り合う女たちをよそに、慶左衛門は将軍様のお手つきの女を口説いたり、饅頭屋の後家に言い寄ったり。エロスの深淵を描く圧巻の大江戸ノワール。お楽しみに。(HT)
1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーとなる。86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞を受賞。95年『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞、98年『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞、2013年『アスクレピオスの愛人』で第20回島清恋愛文学賞を受賞。主な著書に『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『最高のオバハン中島ハルコの恋愛相談室』『愉楽にて』などがあり、現代小説、歴史小説、エッセイと、常に鋭い批評性を持った幅広い作風で活躍している。『西郷どん!』が2018年のNHK大河ドラマ原作に。2018年紫綬褒章受章。2020年には週刊文春での連載エッセイが、「同一雑誌におけるエッセーの最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定。同年菊池寛賞受賞。2022年野間出版文化賞受賞。近著に『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』『成熟スイッチ』がある。
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