極秘とされた満州国皇帝・溥儀の謁見の記録の全貌
外務省出身で、新京の日本大使館書記官であった林出賢次郎は、皇帝・溥儀の絶大な信頼を得、相談相手となり、また専属の通訳として、関東軍司令官をはじめとするほとんどの謁見に同席した。その克明な記録が、戦後四十年経って、和歌山の林出の実家で発見された。
清朝皇帝の尊大さと、傀儡の屈辱。関東軍への不信とおもねり。自らの後継問題と、親族への疑念……。そこに記された溥儀の胸中と肉声は、悲劇の偽国家・満州国の真の姿をあらためて浮かび上がらせる。
昭和天皇に対する絶大な敬意と羨望。帝位継承すら自らきめられないことへの苛立ちと、皇后をめぐる私生活の悲劇。石原莞爾、東条英機らへの歯に衣きせぬ月旦。
昭和史の闇とされた人造国家・満州国の実態が明らかになる。
第一章 「厳秘会見録」との遭遇
第二章 満州国の誕生前夜
第三章「日満議定書」調印の舞台裏
第四章小春日和の溥儀執政時代
第五章 砂嵐の中の皇帝即位式
第六章訪日で遠のいた「清朝復辟」
第七章「帝室御用掛」吉岡安直
第八章 傀儡国家の内実
第九章 浮上した世継ぎ問題
第十章 帝位継承をめぐる密約
第十一章 日中戦争に揺れる満州国
第十二章 一九三八年、「厳秘会見録」の終焉
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