書名(カナ) | ヨイネムリガニンチショウヲヨボウスル セイシンカイガゴジュウゴネンメニキヅイタコト |
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ページ数 | 192ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 並製カバー装 |
初版奥付日 | 2021年08月04日 |
ISBN | 978-4-16-009001-9 |
Cコード | 0047 |
統合失調症の専門医として50年以上にわたって患者さんたちの治療に当たってきた著者は、最近、何十年も治療に通ってくる患者さんたちが誰も認知症になっていないことに気づきました。その理由は、再発を防ぐ薬を規則的に飲み続けることで良質な睡眠がとれていることにある、と確信した著者は、本書で、睡眠に関する自分および日本や世界の研究者の研究成果に基づき、良質な睡眠とは何か、それが認知症予防にいかに大切かを解説します。
著者が睡眠の研究に取り組むようになったきっかけは、統合失調症の再発に睡眠が深く関係していることに気づいたことにありました。著者は、患者さんの終夜の睡眠時脳波を測定することで、再発する患者さんには最も深い眠り(第四相と言われる「深睡眠」)が不足することを発見しました。50年以上前のことで、当時として世界的にも画期的な研究成果です。以来、著者は、睡眠と発症の関係に関心を深め、統合失調症の治療薬の開発にも力を注いできました。そうした診療・研究の成果として、今回の「認知症に対する気づき」があったのです。
本書の前半は統合失調症の話が中心で、後半が認知症の予防についての話ですが、認知症予防についてだけ知りたい方のために、後半だけ読んでも理解できるよう記されています。本書を貫くテーマは、良質な睡眠とは何か、ということです。認知症にかかりたくないすべての現代人は、必読です。
はじめに
第一章 統合失調症との出会い
1 精神分裂病から統合失調症へ
2 統合失調症の経過と再発
3 長期の治療に関わるようになった契機
第二章 再発防止への取り組み
1 薬物の中断と再発の関係
2 睡眠研究から分かったこと
3 再発の原因に迫る
4 統合失調症の特徴・利点
5 県立北病院での最初の気づき
第三章 治療めぐる社会の仕組み
1 患者主治医制
2 デポ剤の活用と医療費面での裏付け
3 精神保健福祉法の大改正
第四章 統合失調症の治療が認知症の予防に!
1 富士吉田市立病院精神科外来
2 国際学会での発表
3 短命だから認知症にならない?
4 日本早期認知症学会での発表
5 うつ病から認知症へ
6 横浜学会での発表と学会誌への投稿
7 加齢とともに深睡眠はなぜ減少するのか
第五章 認知症予防には何が必要か
1 国、医師会、学界における認知症予防
2 アルツハイマー病についての現在の考え
3 うつ病が認知症に移行する原因
4 睡眠障害とアルツハイマー病の因果関係
5 BDP系睡眠薬が持つ危険性と有用性
6 生活習慣と深睡眠と認知症
第六章 まとめ――認知症の予防に大切なこと
(1)どのタイプの認知症なのか知ろう
(2)深睡眠に回復効果のある薬が重要と知ろう
(3)精神疾患も生活習慣病と考えよう
(4)深睡眠の意義を最新の生物物理学で理解しよう
(5)健全な睡眠と意識は健全な生活習慣とリンクしていることを知ろう
あとがき
引用文献リスト
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