作品紹介

著者は、関西を拠点に40年以上刊行を続けてきた同人誌『奇蹟』の同人で、同誌を舞台に長く歴史小説の秀作を発表してきました。本書は、そうした長い文芸活動の中で生み出した作品から5編を選出したものです。いずれも主人公は女性。鎌倉、室町、江戸期に題材をとり、そうした女性ならではの視点から、人々の暮らしぶりや社会風俗などが、生き生きと描出されています。表題作「藤原定家の妻」は、稀代の歌人との生活を妻の目で描いたもので、定家が見せる後鳥羽院との確執、跡取り息子の自立への必死の思いなどのほか、妻自身の、「源氏物語」「古今集」などの古典を書写する暮らし、知人らとの交友の日々が、きめこまかく描かれています。このほか、「ひとまつむしの記」は徳川幕府五代将軍・綱吉のお側用人だった柳沢吉保の妻、「梅宮記」は江戸初期の皇女・梅宮、「或る母と息子の物語」は室町幕府8代将軍・足利義政の妻・日野富子、「胡蝶」は播磨の藤丸城城主・赤松義村の愛妾・胡蝶が主人公で、それぞれが運命を甘受し、あるいは抗いながら懸命に生きていくさまが描かれています。見逃してならないのは、著者のバックボーンをなしている「源氏物語」などの古典への豊かな知識で、主人公たちのさまざまな思いと、そうした古典の世界とが交錯し、作品に深みを与えています。また、巻末には短い「劇評・映画評」も収められ、歌舞伎への並々ならぬ蘊蓄が垣間見られます。古典の知識を土台とした、女性の視点による女性のための歴史小説集。読めば新たな世界が開けること必定です。

担当編集者より
著者は同人誌『奇蹟』の同人で、同誌を舞台に、長く歴史小説の秀作を発表してきました。本書はその中から5編を選出、いずれも主人公は女性です。鎌倉、室町、江戸期に題材をとり、女性ならではの視点で、人々の暮らしぶりや社会風俗などが生き生きと描き出されています。見逃せないのが「源氏物語」等の古典への豊かな知識で、主人公たちのさまざまな思いとそうした古典の世界とが交錯し、作品に深みを与えています。古典の知識を土台とした、女性の視点による女性のための歴史小説集。読めば新たな世界が開けること必定です。
目次
藤原定家の妻
ひとまつむしの記
梅宮記
或る母と息子の物語
胡蝶
劇評 地獄変
劇評 伝承
劇評 歌舞伎あれこれ
劇評 坂東玉三郎の舞台
映画評 黒髪
劇評 歌舞伎日記
劇評 道成寺
劇評 玉三郎の鷺娘
あとがき
商品情報
書名(カナ) フジワラテイカノツマ
ページ数 192ページ
判型・造本・装丁 四六判 並製カバー装
初版奥付日 2022年11月24日
ISBN 978-4-16-009036-1
Cコード 0093

著者

谷口 弘子

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