書名(カナ) | フジワラノテイカノツマ |
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ページ数 | 192ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 並製カバー装 |
初版奥付日 | 2022年11月24日 |
ISBN | 978-4-16-009036-1 |
Cコード | 0093 |
著者は、関西を拠点に40年以上刊行を続けてきた同人誌『奇蹟』の同人で、同誌を舞台に長く歴史小説の秀作を発表してきました。本書は、そうした長い文芸活動の中で生み出した作品から5編を選出したものです。いずれも主人公は女性。鎌倉、室町、江戸期に題材をとり、そうした女性ならではの視点から、人々の暮らしぶりや社会風俗などが、生き生きと描出されています。表題作「藤原定家の妻」は、稀代の歌人との生活を妻の目で描いたもので、定家が見せる後鳥羽院との確執、跡取り息子の自立への必死の思いなどのほか、妻自身の、「源氏物語」「古今集」などの古典を書写する暮らし、知人らとの交友の日々が、きめこまかく描かれています。このほか、「ひとまつむしの記」は徳川幕府五代将軍・綱吉のお側用人だった柳沢吉保の妻、「梅宮記」は江戸初期の皇女・梅宮、「或る母と息子の物語」は室町幕府8代将軍・足利義政の妻・日野富子、「胡蝶」は播磨の藤丸城城主・赤松義村の愛妾・胡蝶が主人公で、それぞれが運命を甘受し、あるいは抗いながら懸命に生きていくさまが描かれています。見逃してならないのは、著者のバックボーンをなしている「源氏物語」などの古典への豊かな知識で、主人公たちのさまざまな思いと、そうした古典の世界とが交錯し、作品に深みを与えています。また、巻末には短い「劇評・映画評」も収められ、歌舞伎への並々ならぬ蘊蓄が垣間見られます。古典の知識を土台とした、女性の視点による女性のための歴史小説集。読めば新たな世界が開けること必定です。
藤原定家の妻
ひとまつむしの記
梅宮記
或る母と息子の物語
胡蝶
劇評 地獄変
劇評 伝承
劇評 歌舞伎あれこれ
劇評 坂東玉三郎の舞台
映画評 黒髪
劇評 歌舞伎日記
劇評 道成寺
劇評 玉三郎の鷺娘
あとがき
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