書名(カナ) | キョウニノコシタワスレモノ |
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ページ数 | 336ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 並製カバー装 |
初版奥付日 | 2025年02月14日 |
ISBN | 978-4-16-009075-0 |
Cコード | 0095 |
著者が生まれ育ったのは、京都の下町ともいうべき下京区の松原通商店街。家業は小さな電機店。四条河原町などの有名繁華街からはちょっと離れた、四条大宮にほど近いその小さな商店街には、ご近所さんが肩を寄せ合って暮らす、濃密な人と人との繫がりがありました。著者が小学生となったのは昭和21(1946)年。だから著者の子ども時代は、戦後の復興と軌を一にします。そうしたみんなが貧しかった戦後すぐの世相を背景に、商店街あげての歳末大売り出し、大晦日の八坂神社への「をけら参り」、身近な行事だった「壬生狂言」、嵐山への「十三参り」、鴨川や蹴上の疎水での水泳、京の町を駆け抜けた学級対抗駅伝など、生き生きとした思い出が豊富に綴られます。それらは、京都人でなければ経験できない、いかにも京都を感じさせる思い出の数々です。幼い頃に父を亡くしたため母や兄を中心に家族が団結し、著者は「いたずらっ子」「立たされ坊主」として、やんちゃな子ども時代を過ごしたのですが、経済的理由から大学進学を諦めて高校卒業後に就職。そこで厚い世間の壁にぶち当たり、「この先どう生きるか」に苦悶します。そんなとき著者を鼓舞してくれたのは、そうした子ども時代の豊かな思い出でした。著者は仕事のかたわら夜間大学に通い、工業高校の教諭となり、やがて国際的な科学教育協力の先駆者としての道を切り拓きます。いつも「京に残した忘れ物」への追憶を胸に。本書は、80歳越えた今も現役の教育専門家として世界から招聘される、不屈の著者の生命力あふれる半生記です。
はしがき
第1部 京生まれの「いたずらっ子」
第1章 京の松原通、夢心地の日々
1 松原通は四条と五条の間
2 向こう三軒両隣、そしてご近所さんのこと
3 家から清水寺まで歩く
4 母の背で夢心地
5 四才の写真――一九四四(昭和一九)年の初冬
6 芳男兄が遺骨で帰ってきた――五才の夏の終わり
7 「新憲法發布の日」の写真
第2章 松原通にお嫁さんが来た!
1 松原通、小さな家の電機店
2 はじめて乗った自動車
3 兄の新婚旅行を見送る
4 兄とマーちゃんの結婚話
5 マーちゃんの行水
6 美空ひばりの映画「とんぼ返り道中」――大宮通七条の映画館「宝座」
7 出産迫るマーちゃんを自転車で
第3章 空に三角旗はためく歳末大売出し
1 松原通に響いた江州音頭
2 三味線の音が流れていた路地
3 DDTと町内対抗運動会
4 三角旗はためく歳末大売り出し
5 暮れの大掃除と餅つき、新春祝い
6 除夜の鐘、「をけら火」、正月
第4章 「ドンとドンとドンと、波のり越えて~~」
1 節分は壬生寺のカンデンデン
2 大宮通七条の平安高校の優勝
3 松原橋、疎水、そして嵐山で泳いだ
4 ラジオの「カムカム英語」
5 「ドンとドンとドンと波のり越えて~~」
第2部 十八才の出発
第1章 「鴨川の水が、逆さまに流れようとも」
1 学校が楽しくなってきた
2 キリン、ペリカン、カバ
3 十三まいりの嵐山、渡月橋
4 「鴨川の水が逆さまに流れようとも」
5 小坂青雲堂、みかん箱の本立て
第2章 京の町を駆けた学級対抗駅伝
1 京の町を駆けた学級対抗駅伝
2 電気洗濯機の街頭宣伝、テレビの登場
3 仮装行列「紀元前一〇〇万年」
4 「禁じられた遊び」と「シェーン」
第3章 東寺の塔の聳ゆるところ
1 東寺の塔の聳ゆるところ
2 祇園石段下、フルーツパーラー八百文
3 「堀川」が映画「夜の河」になった?
4 定期試験の苦しみ、町歩きの楽しみ
5 十七才の挫折
第4章 十八才の出発
1 十八才の出発
2 喫茶店で本を読む身分になるには?
3 阪神・巨人戦のナイターを横目に
4 山とスキーに明け暮れる
5 テープレコーダーと「いつでも夢を」
6 「未来を信じ、未来に生きる」
第3部 大阪から京都に、そして東京へ
第1章 京から大阪へ
1 暗雲は動き、光が射しはじめる
2 大阪から京にUターン
第2章 予期せぬ波乱、そして修業は続く
1 好事魔多し
2 京で出直し修業六年半
第3章 二度の渡米を経て東京へ
1 初渡米の機会が来た!
2 二度目の渡米
3 バッグ一つで東京へ
4 新しい環境の日々
5 上司の心くばり、外務省研修所行き
第4部 欧米一人歩き、アジア体験
第1章 三度目の渡米、初の欧州とアジア
1 三度目の米国一人旅、初の欧州行き
2 小沢征爾を聞き、マドリッドに飛ぶ
3 憧れのマッターホルン
4 初のクアラルンプールとバンコク
第2章 ネパール、カトマンズ滞在
1 ネパールの国際集会
2 一人で出かけた二度目のカトマンズ
3 ロスト・バッゲージに遭遇
4 ネパールの先生たちの現地研究集会
5 植村直己さんのこと、ホテル・エベレスト・ビューのこと
第3章 再びのクアラルンプールとバンコク
1 再びクアラルンプールに
2 クアラルンプールで競歩に
3 マレー、中華、インド系の職員たち
4 トラブルが続いた厄年
5 東京に来たタイ人、C・トンチャイ
第4章 バングラデシュ体験
1 英国人、インド人、日本人のチーム
2 汗また汗の現地調査
3 雨水を濾過し、煮沸して飲む
4 ダッカからバンコクへ帰着
第5部 東京を離れる日
第1章 あわただしく続く海外渡航
1 二度目のインド、四度目の米国
2 再びのタイ、マレーシア、シンガポール
3 トルコ、九カラットのダイヤの指輪――一九八五年三月
第2章 東京の忘れがたい日々
1 NHK総合テレビに出演
2 西新宿の盆踊り
3 東京を離れる日
後日譚、書き残したこと
1 五十五年振り、中学校の同期会
2 「カムカム英語」の後日譚
3 タイ人トンチャイ、その後
4 松原通のこと、衣通姫のこと
5 小坂青雲堂で買った「日本詩歌集」
備忘録
あとがき
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