| 書名(かな) | めをとじればどばいのあめ もんすんとのひび |
|---|---|
| ページ数 | 200ページ |
| 判型・造本・装丁 | 四六判 並製カバー装 |
| 初版奥付日 | 2026年11月20日 |
| ISBN | 978-4-16-009097-2 |
| Cコード | 0093 |
本書は、2022年2月、東南アジアの某国から、動乱を避けて、日本を想起させる国に逃れて来た一人の若い女性モーが、なんとか職を得、生活と気持ちを安定させるまでの数カ月間の心の軌跡を描いた小説です。その間、孤独や不安、戦わずに祖国をのがれ出て来たという罪悪感に苦しむ彼女の心を、何かにつけ動揺させるのは、自らの心の奥に潜む「モンスター」。外国人の自分に向けて差別まがいの心無い言葉が投げかけられた時や、日常生活で遭遇する否定的な言動に傷ついた時、その「モンスター」がむくむくと大きくなって動き出し、言葉にならない悪態をつき、悪意を前に押し出してモーの心を支配しようとします。そんな時、モーは、母のように慕っていた亡きニシダ夫人の言葉を思い出します。「誰の心にもモンスターは潜んでいるの。でも、暴れ出さないように、うまくモンスターと付き合うのよ」。モーはこの言葉を守り、動揺する心を立て直します。その立て直しに一役買うのは、モーを取り巻くさまざまな人たち。ボランティアの支援者や、宿所の経営者夫妻、IT技術者のヒロシなどが、陰に日向にモーを見守り、手を差し延べてくれます。そうした周りの人たちも、それぞれに何らかの事情を抱えていて、それがまた、モーに生きていくうえの気づきを与えてくれます。特にヒロシは、津波で父母を亡くした過去があり、故国の動乱で父母を亡くしたモーと、どこか同じような痛みを感じ合っています。物語は、モーとヒロシが明日に向かって歩み出す予感を漂わせて終わります。「森あやの」はペンネーム。著者は長く女性のキャリアカウンセリングに従事してきた人で、その経験を活かし、お話の中に、ボランティア活動や就職、就労後のトラブルなどにまつわる、豊富なエピソードをちりばめています。声高でない、静謐で内省的なヒューマンドラマを好まれる方に、ぜひお薦めしたい一冊です。
第一章 空港
第二章 ドバイの大雨
第三章 母国を離れて
第四章 モンスター「モンスン」との暮らし
第五章 メトロポリス ドバイ
第六章 花の支援者
第七章 水の支援者
第八章 あの震災
第九章 土に帰る 葉桜の丘
第十章 見えないモンスター
第十一章 祈り
第十二章 ひまわり
第十三章 雷神
第十四章 名前
第十五章 もし……
第十六章 雨が止むまで
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