| 書名(かな) | めをとじればどばいのあめ もんすんとのひび |
|---|---|
| ページ数 | 200ページ |
| 判型・造本・装丁 | 四六判 並製カバー装 |
| 初版奥付日 | 2026年11月20日 |
| ISBN | 978-4-16-009097-2 |
| Cコード | 0093 |
本書は、東南アジアの某国から動乱を避け、日本を想起させる国に逃れてきた一人の若い女性モーが、なんとか職を得、生活と気持ちを安定させるまでの数カ月間の心の軌跡を描いた小説である。お話はドバイで遭遇した大雨が彼女の運命の扉を開くところから始まる。辿り着いた異国での日々、孤独や不安、戦わずに祖国から逃げてきたという罪悪感に苦しむ彼女の心を何かにつけ動揺させるのは、自らの心の奥に潜むモンスター(名付けて「モンスン」)。外国人の自分に向けて差別的な言葉が投げつけられた時や、折に触れ遭遇する小さなトラブルに傷ついた時、そのモンスンがむくむくと大きくなって、声に出さない悪態をついてモーの心を支配しようとする。そんな時、モーは、慕っていたある女性の言葉を思い出す。「誰の心にもモンスターは潜んでいる。でも、暴れ出さないように、うまくモンスターと付き合うのよ」。モーはこの言葉を守り動揺する心を立て直す。その立て直しに一役買うのはモーを取り巻く様々な人たち。ボランティアの支援者や宿所の経営者夫妻、IT技術者のヒロシなどが、陰に日向にモーを見守り手を差し延べてくれる。そうした周りの人たちも、それぞれに何らかの事情を抱えていて、それがまた、モーに生きていく上での気づきを与えてくれる。特に津波で父母を亡くしたヒロシは、故国の動乱で父母を亡くしたモーと、どこか同じような痛みを感じ合っている。物語は、モーとヒロシが明日に向かって歩み出す予感を漂わせて終わる。著者は長く女性のキャリアカウンセリングに従事してきた人で、その経験を活かし、お話の中にボランティア活動や就職、就労後のトラブルなどにまつわる、豊富なエピソードをちりばめている。声高でない、静謐で内省的なヒューマンドラマを好まれる方に、ぜひお薦めしたい一冊である。
第一章 空港
第二章 ドバイの大雨
第三章 母国を離れて
第四章 モンスター「モンスン」との暮らし
第五章 メトロポリス ドバイ
第六章 花の支援者
第七章 水の支援者
第八章 あの震災
第九章 土に帰る 葉桜の丘
第十章 見えないモンスター
第十一章 祈り
第十二章 ひまわり
第十三章 雷神
第十四章 名前
第十五章 もし……
第十六章 雨が止むまで
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