担当編集者より

今年（１９９５）一年は、阪神大震災から始まってオウム・サリン事件など殺伐たる世相でしたが、「読むクスリ」は変わることなく、暗い日本にもこんなに面白く微笑みたくなる話があるのかという感じで、最新刊をお届けします。阪神大震災が起こった朝の六時すぎに大阪在住の常務が、神戸がめちゃくちゃになったと慌てて、東京に出張していた社長に電話をした際に「阪神高速が倒壊した」という的確なキーワードを伝えたために、社長が寝ぼけ眼からいっぺんに眼が覚め、事後処理をスムースに行えたという話の教訓などは、危機管理の初歩を教えてくれます。そうした企業関係のちょっといい話以外にも、自然と人間との触れ合いや海外でのさまざまな人との出会いを通じてのほのぼのとした体験が綴られており、一家に一冊、家族全員で楽しみつつ考えさせられながら一読できる本です。（Ｓ）