担当編集者より

老年を迎えたアキコさんの趣味は、手紙を書くこと。この手紙、脱線に次ぐ脱線でなかなか本題に到達しないから性質が悪い。お見舞いの手紙のつもりが、ちらし寿司に、新聞の投書に、そして不二家のフランスキャラメルにと次々移っていくという具合で「お勝手」の話題を書きまくるのだ。もちろん、映画や小説についての博識と痛快痛烈な批評の数々も。当世きっての文章家による贅沢な書簡体小説。