書名(カナ) | ソウリノタンジョウ |
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ページ数 | 264ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2016年12月15日 |
ISBN | 978-4-16-390576-1 |
Cコード | 0095 |
目次
序章 その時、安倍の言葉を聞いた
二〇〇七年九月十二日、 私は全身の力が抜け落ちるような感覚を味わった。安倍が辞任
する。ただただ悔しく虚しかった――。本書は、安倍が無役の若手議員だったころから、
私が直接、安倍と話し、見聞き体験し、考えてきたことを記す本だ。
第一章 実は出世は遅かった
岸信介の孫、安倍晋太郎の息子、大叔父は佐藤栄作。だが、安倍晋三自身は同期の仲間
たちが次々と政府のポストを与えられる中、ひとり取り残された。初めて政府の役職に
つくのは、当選から実に七年も経った時のことである。
「ここまで外されてきたんだから、もう開き直った。こうなったら、(第一希望の)外務政務次官以外だったら、話が来ても受けない」
第二章 小泉純一郎という両面教師
要職に抜擢され、小泉に仕えながら安倍は二面を見ていた。暗闇の中、天皇が神々に新
米を備える新嘗祭に参列した小泉は「電気をつければいいじゃないか」。郵政解散でも理
念的保守の安倍の同志たちは刺客をたてられ落選。だが、その勝負勘には目を見張る。
「郵政民営化なんて本来、我々が目指していることに比べたら、どうでもいいことではないか」
第三章 小泉さんは、拉致を分かっていない
北朝鮮に同行する直前、安倍は官邸で絞り出すように声を漏らした。あくまで日朝国交
正常化を第一に考える小泉には、拉致問題の重大性への理解がまるで足りなかったのだ。
初訪朝を終えて帰国した小泉は「なぜ皆、俺をほめないんだっ」と当たり散らした。
「小泉さんは、拉致の『ら』の字も分かっていない」
第四章 なぜ、一次政権は崩壊したのか
五十二歳の若さで総理になった安倍だが、これまで支持してきた右派からの攻撃にさら
される。しかし政権運営となると様々な現実的対応が必要である。その中で安倍は、全
国戦没者追悼式の演説の原稿で、こうした批判を丁寧に取り入れることも心がけた。
「明日の式辞の原稿なんだけど、『心ならずも命を落とした方々』という表現は、保守派の評判がよくなかったよね」
第五章 政治的な死者と言われて
わずか一年での突然の退陣表明。会見後の深夜、記者クラブで呆然としていたところに
携帯電話の着信があり、出ると相手は安倍本人だった。「私は求心力を失ってしまった」
こう言う安倍に、私はこれで日本は十年、時を失うだろうと考えていた。
「やれるところまで、できるだけ頑張ろうと思っていたのだけど、それも無理になった」
第六章 盟友、中川昭一のこと
政権を退いた安倍に追い打ちをかけたのが、理念を共にする中川の死だった。私も安倍
同様に親しく付き合った。彼が総理を目指していたのは間違いない。「経済閣僚をやら
ないと首相になれない」という外務官僚の酒席でのひと言に中川は烈火のごとく怒った。
「あの件さえなければ、今ごろ昭ちゃんが自民党総裁だった」
第七章 橋下徹コネクション
民主党政権下の二〇一二年六月、再燃する大連立構想に対し、安倍は強く異を唱えた。維新の会の国会進出が取りざたされたこの時期、安倍は橋下との会談で直接、自民党からの離脱を打診されていた。橋下とのパイプをテコに、安倍は奇跡の復活への足掛かりを築く。
「自民党と民主党による大連立構想は、とんでもない話だ。そうなったら自民党を割って出る」
第八章 経済という切り札
何が第二次安倍政権で変わったのだろうか。それは、一次政権の時にはなかった「経済」
を切り札にするということだ。憲法問題、安全保障のあり方が、選挙結果を左右するこ
とはない。そう学習した安倍は、二〇一三年七月の参院選で大勝する。
「人生、やればやれるものだ。仮に六年前の(首相時代の)参院選で適当な議席で勝って第一次政権が長続きしていた場合より、一度政権を失った今回のほうが憲法改正に必要な議席に近づくことだろう」
第九章 オバマとの関係はこう詰めた
「私は政治的に厳しい立場にある。私の支持率は四五%だが、安倍内閣は六〇%あるか
ら大胆に決断できるんじゃないか」。すきやばし次郎でオバマはこう安倍に迫った。外交
とは互いの内政リスクを理解すること――安倍に対して次第にオバマは警戒を解くことに。
「いや、日米同盟がわが国の基軸だ。だから今回は米国へ行く。日米同盟の強化を行いながら、中国との関係を考えていく必要がある」
第十章 安倍の後継者は誰か?
消費税増税を安倍が延期したのは、そもそも財務省の経済感を信用していないからだ。
ただ皮肉にも、その決断に反対したのは安倍が見出した稲田朋美だった。ライバルと目される石破茂、閣内のプリンスと言われる岸田文雄……誰が総理の座を継ぐのだろうか。
「稲田さんは、正義感からああ言っているんだろう」
あとがき 少数派が中枢に位置する時
略年表
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