単行本

東芝 大裏面史

1,650 (税込)
発売日2017年05月29日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) トウシバ ダイリメンシ
ページ数 264ページ
判型・造本・装丁 四六判 上製 上製カバー装
初版奥付日 2017年05月25日
ISBN 978-4-16-390658-4
Cコード 0095

これを読めば分かる、東芝が〝崩壊〟した理由

経済産業省は原子力発電を輸出することによって国を繁栄させる
「原発ルネッサンス」という政策を省是とした。
東芝は、その大きな政策の流れの中、米国の原子力大手、
ウェスチングハウスを三菱重工業が提示した額を遥かに上回る54億ドルで買収する。
しかし、3・11の福島原発事故で、東芝が作った3号機もメルトダウン。
それを機に原発事業は先進国のみならず、新興国でも存亡の淵に立たされる。
すでに死んでいるはずの東芝が、まだ生き長らえているのはなぜか?
そこには、日本の核燃料サイクルを維持させるための経産省の深謀があった。


プロローグ
二つのデンキヤ――本書の成り立ち

第一章 経産省にババを引かされた
東芝「第二の減損」の戦犯
東芝崩壊の鍵は、安倍政権を担う経産省の原子力マフィアが握っていた。その全貌とは。

第二章 原発ビジネスへの傾注 2008~2011年
1 西田神話の化けの皮
集中投資が裏目に出て株価は急落の一途。「選択と集中」が負のスパイラルに陥った。
2 自己資本が危ない
西田社長が退任。5000億円超の繰り延べ税金資産という厳しい財務は予断を許さず。
3 原発ビジネスが視界不良
新興勢力の台頭で原発の受注競争は劣勢に。得体の知れないベンチャー企業まで現れた。
4 USEC出資の深謀
ウラン濃縮の米大手会社との提携決断で、ロシア、アメリカとの関係性は変わったのか。
5 原発大国ニッポンは過去の幻影
海外に広がる日本の技術力への疑念。原発ビジネスの地盤沈下は既に始まっていた。
6 特許庁汚職に浮かぶ「東芝」と「二階」
特許庁のシステム入札・受注は、ウェスチングハウス買収の見返りだったという可能性。
7 原発「日の丸連合」に乗り遅れる三菱重工
ベトナムの原発建設を請け負う過程において、各社と経産省との関係性が如実に表れた。

第三章 上層部の暗闘 2012~2015年
8 ウェスチングハウス社長を解任
誇り高きモンロー主義と格闘5年。ついに首をすげ替え、福島原発事故後の逆風に抗う。
9 西田会長vs.佐々木社長が冷戦
会長を差し置き、社長が経済財政諮問会議のメンバー入り。暗闘はますます激化した。
10 晩節汚す会長の仕返し人事
経団連会長の目が消えた西田。頭の中には自社の成長のことよりも怨念しかなかった。
11「おねだり経団連」佐々木副会長の品性
安倍ブレーンを自負する佐々木副会長の言動は、首相官邸や財務省の顰蹙を買った。
12 夢しぼむ東芝WH「日の丸原子炉」
ウェスチングハウスが親会社の知らぬ間にトルコで中国と連携。安倍官邸は憮然とした。

第四章 粉飾決算の発覚 2015~2016年
13 不正会計の刺し合いで泥沼
不正経理を互いに出身母体のせいにする西田と佐々木。刺し合いは果てしなく続いた。
14 オリンパスの轍を踏むのか
トップ3が引責辞任。再生の成否は次期経営陣の選任と事後処理にかかっていたのだが。
15 臭い物に政官ぐるみ蓋
東電向けスマートメーターに関する怪文書は官邸や経産省、第三者委員会に衝撃を与えた。
16 再建に出しゃばる老害・西室
80歳の相談役が人事を牛耳る異様。上層部の冷戦はそもそもこの人に原因があった。
17 刑事告発を監視委が検討
長期に及ぶ大規模な粉飾決算が明らかとなり、シメシをつけろと厳しい意見も出始めた。
18 子会社「東芝メディカル」の怪しい「1次入札」
虎の子の東芝メディカルシステムズの売却過程で、不可解な入札プロセスがあった。

第五章 再建か解体か、泥沼の混迷へ 2016~2017年
19 企業の不正発覚はこれからか?
上場企業の「不適切な会計処理」が増加し、監査法人との攻防が注目を集めた。
20「肩書コレクター」西室の負の遺産
日本郵政社長を降板し、華やかな経歴についに終止符。だが、社を歪めた罪は大きい。
21 退職金圧縮の原罪
財務を健全に見せるため、退職給付債務の割引率を高くする会計操作が行われていた。
22「原発失敗」頬っかむり
原発事業資産を減損処理も収益計画に変更なし。室町社長の責任逃れ極まる決算操作。
23 不正で「同罪」トーマツ窮地
監査法人へのごまかしが疑われるメールが暴露され、金融庁から事情聴取を受けることに。
24 佐渡監視委が苦悶「東芝刑事告発」
トップ3の刑事告発を視野に入れた証券取引等監視委員会に対し、霞が関が牽制した。
25「立件せず」に屈した監視委
特捜部は立件を見送り。監視委は納得しなかったが〝東芝狂騒曲〟は幕切れを迎えた。
26 難破船から取引先は逃げ出すか
Xデーはいつなのか? 破綻すれば影響必至の大企業に政府の関与はあるのだろうか。

第六章 原子力ルネッサンスの幻
90年代、国内で電力自由化を推し進めるべく「聖域」に踏み込んだ男が経産省にいた。

第七章「フクシマ」のTSUNAMI
ウェスチングハウス買収からわずか5年。未曽有の大災害が東芝にもたらしたものとは。

第八章 トランプのデッドライン
連邦破産法申請でも安閑とはしていられない。日米原子力協定更新という一大事が迫る。

エピローグ

担当編集者より

19万人もの社員を抱える名門の大企業がなぜ危機に陥ってしまったのか。2006年にアメリカの原発会社ウェスチングハウスを法外な値段で買収したこと、3.11後の原子力発電事業の低迷、トップの権力争い、粉飾決算の発覚。様々な理由はあるものの、そもそも経済産業省主導による原子力政策への深謀があったのです。そこには核燃料と原子力における米国との約束と駆け引きがあり、それ次第で日本の原発は存亡の危機に立たされる。東芝はその狭間で揺れている――この本を読めば、そんな構造がくっきりと見えてきます。

著者

FACTA編集部

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