書名(カナ) | キョウリュウタンテイ アシアトヲオウ フン オウトブツ スアナ タマゴノカセキカラ |
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ページ数 | 456ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2017年08月10日 |
ISBN | 978-4-16-390702-4 |
Cコード | 0098 |
『ジュラシック・パーク』の常識が覆る!
骨の化石からはわからない、生活痕跡の化石から恐竜の生態、その謎を追う。
目次
第一章 恐竜を追う
生痕学は生物の足跡、巣穴、糞、嘔吐物といった行動の痕跡が残された化石を
研究する分野のことである。そこでは科学と想像力の交差が見られるが、こと
恐竜に関して彼らがどのように生活し、互いや環境とどう影響しあったかを正
確に知るには、骨だけでなく生痕化石をきちんと調べる必要がある。
第二章 この足は歩き、走り、すわり、泳ぎ、群れをなし、狩りをするために作られた
恐竜の足跡は南極大陸を除くすべての大陸で見つかっており、今でも毎年新た
に発見されている。二足歩行か四足歩行か、指の数や向きはどうか。足跡を分
析することで恐竜の種類が判明するのだ。さらに俯瞰して見ると、群れで移動
していたのかどうか、歩く速さや健康状態などまで分かってくる。
第三章 ラーク採石場の謎
オーストラリアのクイーンズランド州にある世界的に有名な恐竜のトラックサ
イト、それがラーク採石場である。一九六二年に目利きのアマチュアが発見。
古生物学者による調査はそれから九年も後のことだった。二一〇平方メートル
の地面に三三〇〇個以上もの足跡が残る――恐竜はまさにここにいたのだ。
第四章 恐竜の巣と子育て
かつて恐竜は子を産むと産みっぱなしと考えられていた。だがそのイメージは
ここ三〇年ほどで大きく変わった。恐竜の巣という決定的なものが見つかった
からだ。水はけがよく土壌が柔らかで、危害を加える他の動物がいない場所を
探し、産卵後には卵をどう扱うかの営巣行動は鳥に似ているかもしれない。
第五章 地下にもぐる恐竜
二〇〇五年、友人の研究者とアメリカ北西部モンタナ州の白亜紀の地層を訪れ
た著者は、興味深い形状の穴を確認。さらにその中からおとなと子どもの恐竜
三体も見つかった。復元された恐竜は解剖学的特徴から穴掘りに適しており、
巣穴のサイズもぴったり。世界で初めての恐竜の巣の発見だった。
第六章 折れた骨、歯型、歯に残された痕跡
骨や皮膚の体化石にも生痕は残されている。中でももっとも明白なのは歯型で
ある。恐竜同士が噛みつき、その歯が骨に残した穴、窪み、傷などの特徴から
様々なことが分かるのだ。噛みついたのか、肉をこそげとろうとしたのか。相
手は生きていたのか、死んでいたのか。血にまみれた食事の詳細とは。
第七章 なぜ恐竜は石を食べるのか
胃石は一見地味な生痕化石だ。現代でも一〇〇個以上を持つ動物もおり、ダチ
ョウは体重の一パーセントが胃石の重量だという。石に食物を「咀嚼」させて
消化を助けるのが一般的な役割だが、浮力調整で意図的に石を食べた海生爬虫
類もいたとか。現在は草食より肉食恐竜が持っていた可能性が高い説も。
第八章 当時の名残――恐竜の吐物、胃の内容物、糞、その他、虫の知らせ
排泄物の化石もリジャージテイライト(嘔吐物)、エンテロライト(胃内容物)、
コプロライト(糞石)など様々。ごくわずかな例で、ユーロライトという排尿
の化石も残っている。中央に落下孔、周囲にしぶき、地面に傾斜があれば流れ
た尿の跡。恐竜の腰の高さや液体の流れる速度が分かれば再現も可能だ。
第九章 壮大な白亜紀を歩く
かつてオーストラリア大陸は南極近くにあった。ヴィクトリア州の白亜紀の岩
床では、それまではっきりと確認された恐竜の足跡化石は四つしかなかったが、
二〇一〇年、州南西部ミラネシア・ビーチの海岸沿いを探索していた著者は大
量の足跡を発見。オーストラリア南部では初めての快挙だった。
第一〇章 わたしたちの中に恐竜の足跡を辿る
最古の鳥の足跡と考えられるものは、ジュラ紀後期から白亜紀初期の色々な場
所で見つかっており、中生代の恐竜と同様の規模で痕跡を残している。鳥類の
進化の歴史を知ることで、現代の鳥の足跡、巣、くちばしの穴や砂浴びの跡な
どからも、恐竜たちの行動を探求する手がかりが得られるかもしれない。
第一一章 恐竜の景観と進化の足跡
化石こそないが、恐竜のおならが地球の気候変化に影響を及ぼしたとする研究
が行われているし、まだ発見されたことのない恐竜のセックスの痕跡も見てみ
たい。実はかのダーウィンも恐竜の生痕学を研究していたのだ。遠い昔に刻ま
れた生痕化石を学ぶことで、未来の研究に活かしていくことが大事である。
訳者あとがき 恐竜の足跡は日本でも
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